⑩河原の呼び方に癇癪を起こす飛田
・飛田の家 (昼)
河原はラベルを張り続ける作業を終える
河原『トビィさん?すいません、トビィさん?俺、終わりましたよ』
風呂場に近づく河原、風呂場から出てくる飛田
飛田『お前さぁ、そのトビィさん?っていうのやめろよ』
河原『な、なんでですか?』
飛田『いや、俺がそう呼ばれたいと思ってるわけ?』
河原『すいません』
飛田『はぁ?』
河原『・・・』
飛田『いや、お客さんがそう呼ぶのは良いよ、そういうもんじゃん、なんかバンドマンって、なんかそういうふうにするじゃん、でも普段から渾名呼びは違うっていうか、普通にいやじゃん、大人なんだし、しかも君、ビジネスの場で来てるわけじゃん?芋洗?なりたくて来てるわけじゃん』
河原『はい』
飛田『じゃあ、おかしくね、なんか勘違いしてる感があるのね、で、俺はそれに付き合いたくないわけ』
河原『すいませんでした』
飛田『真剣に芋洗になるつもりなかったら辞めていいから』
河原『すいません、あの、すいません、』
飛田『なんだよ』
河原『あの、いや僕、そのなんて呼んだら良いかとかわかんなくて、』
飛田『はぁ?』
河原『いや、そのトビィさんを、そのなんて呼んだら良いかわかんなくて』
飛田『はあ!』
河原『すいません、だから、そのなんて名前かわかんなくて』
飛田『だったらなんで俺が教えなきゃいけねぇんだよ』
河原『いや、そうじゃないと僕、呼び方がわからないから』
飛田『わかった!わかった!わかったって、』
河原『いやだから、なんて呼び方が良いかとかって』
飛田『知らねぇよ、自分で考えろよ』
河原『えっと、その、、、先輩とか?』
飛田『なんで俺がお前の先輩になるんだよ』
河原『だって芋洗の事を教えてもらうわけじゃないですか』
飛田『いやだから、違うって、その先輩っていうその感じが嫌』
河原『、、、そのお名前とかって聞いても良いんでしょうか?』
飛田『はぁ?』
河原『いや、その無理にとは言わなくて、その無理にお願いしてる訳ではなくて』
飛田『わかった、わかった、うるさい、飛田』
河原『え、ひ、ひあ?』
飛田『ヒ・ダ!』
河原『あっすいません、ヒダさんですね』