第1話 異世界での生活
私は、竜さんが好き。
グルームのことが、どうでもよくなるくらいに好き。
第一、ただの幼馴染のことなんて、私は好きにならない。
好きになるのは、イケメンで爽やかで落ち着きのある竜さんだった。
竜さんと一緒にいて、1週間になろうとしていた。
最初は慣れなかったけれど、竜さんがどうしていけばいいとか教えてくれた。
私は、その姿に胸の高鳴りが止まらなかった。
竜さんのまわりには、人間がいなくて、ドラゴンとか怪物ばかりだけど、今の私はそんなものは竜さんがいてくれればこわくなかった。
私は竜さんの提案により、髪を黒く染めた。
「似合ってる・・・・」
竜さんは、照れながらもほめてくれた。
「ありがとう。
竜さんは、褒め上手なんだね」
「そんなことないよ。
俺は女の子と接したことなんてないから、どのような態度で、対応でとかよくわかんなくて戸惑っているよ。
ブライドは、本当にこんな俺が好きなの?」
「好きだよ。
大好きだよ。
でなきゃ、一緒になんていない」
「本当に?
誰かに言われたから、告白したとかじゃない?
人間の世界には、罰ゲームで告白するっていうのがあるみたいだから」
どうして、竜さんは自分に自信がないんだろう?
どうして、私が好きだってことを簡単に受け入れないのだろう?
私は、こうゆうところを含めて、竜さんが好き。
だから、私が自信を持たせてあげればいいんだ。
「そんな小学生みたいなことしないよ。
それに、私はグルームと監禁生活を送ってきたんだし、誰もそんな罰ゲームをする人なんていない。
グルームはどう思うのかわからないけど、私は今も竜さんだけが好き。
どのくらい、好きって言えばいい?」
「好きの回数とかで、俺は愛をはからないよ。
ただ、君が人間だというのなら、ブライドは親のところに帰った方がいいかもとか、警察に事情を伝えた方がいいかもって思って、その方が安心で、安全でしょ?
俺といても、危険なことばかりしか起こらない気がして」
竜さんは、気を使ってくれている。
もしかしたら、気を使わしてしまっているのかもしれない。
「私は、親とうまくいっていないの。
それに、監禁されて何年たっているとか実際のところ、わからないからさ、警察に報告しても、私は人間世界で生きていけるかどうか・・・・。
高校に進学することもできなければ、就職につくこともできない。
それが、誘拐されて、監禁されて人の末路でしょ?
人間世界に帰ってこれたとしても、私は生きていけない」
「そっか。
たしかに、人間世界はそこが冷たいよね。
被害者に対する支援もないもんね。
まともな人生を送れない人は、普通に見放しちゃうもんね。
俺も、見てきたから知っている」