第10話 親切なハーフドラゴン
ドラゴンの背中に乗せてもらい、ユニコーンとペガサスがたくさんいるところについた。
空の上はこわかったけれど、目をつむれば、一瞬だった気がする。
「ドラゴンさん、ありがとうございます。
あの、名前を教えていただけませんか?」
「名乗るほどでもないと思うが」
「私、心優しい君のことが好きになったんです。
だから、教えてください」
「君は君で、ずいぶんと変わっているな。
だが、わしはドラゴンの姿の身。
名前なんて、当然ないに等しい。
なので、名前で呼びたくばつければよい」
「じゃあ、竜さんかな?
よろしくね、竜君」
「お、おう・・・・」
「これから、私と一緒にいましょう」
「君がそういうなら・・・・」
ドラゴンの竜さんは小さくなり、人間の姿になった。
私と同じ青い髪に、瞳の色は紫紺と呼ばれるものだった。
色は白くもなければ黒くもなくて、耳がエルフのように尖っていた。
白の衣装には、ドラゴンの絵柄があった。
「君みたいな人は初めてだよ・・・・」
「かっこいい・・・!」
私は、竜さんの人間の姿に惚れ惚れしてしまった。
「竜さん、友達からでもいいので、付き合ってくれませんか?」
「初対面でありながら、ずいぶんと慣れ慣れしいなあ。
それに、俺がこわくないのか?
さっきまで、ドラゴンの姿だったんだよ」
「こわいわけないじゃないですか。
こんな親切にしてくれて、私はすごっくかっこいいと思いました」
「何だよ、それ?
まあいい。
とにかく、俺はこれっきりですまそうと思っていたけれど、君みたいな人が世の中にいるとは思わなかったな。
ちなみに、俺は人間じゃない。
ドラゴン族と人間のハーフっていうところかな。
この世界では、ハーフドラゴンと呼んでいるみたいだけど」
「それでも、君が好きなんです。
付き合ってくれないですか?」
「初対面で付き合うとか・・・・。
まあ、友達からならいいけど」
「やったあ」
「俺のどこがいいんだ?
今まで、そんな人現れなかったし」
「それは初対面の私を安全なところに送り届けてくれたところ」
「悪いけど、そのことは他の人にもやっているんだ。
人間世界でいう、迷子の子供を交番に送り届けるようなものなんだ。
つい、この間、人間世界で親とはぐれて泣いていた女の子を、交番に届けたばっかりだし。
君だけ特別ってことでもないんだ。
変な勘違いしていない?」
「そんなことないよ!
誰にでも親切な竜さんがいいんです。
髪も青くておそろいで、私も親以外の人と出会えて、嬉しいんですよ」
「これのこと?」
竜さんが、髪に触りながら話す。
「この髪の色、実はコンプレックスだったんだけど、ありがとう・・・」