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探偵助手は 闇の中

新作への伏線としての短編

作者: 稲葉小僧

ただの短編です(伏線ばかりの)


これは、まだ誰も知らない次元、誰も知らない時の狭間で行われた、とある会議での会話の一節


〈うむ。これだけの参加者があれば、目的とする組織の設立、立ち上げ、人員の見繕いも可能だろう〉


「ところで、伺いたいことがあるんですが?」


〈〈何でしょうか?今更、この会議を根本から否定するとか?〉〉


「いいえ、そうではなくて。この会議の目的が見えなくて、ですね。一応、もらった資料では、超法規的な大規模犯罪の防止と被害者救済、それを企画・行動するべくして集まった団体や集団の捕獲と矯正?あまりに、ぼんやりとしすぎているように見えるのですが?」


〈ああ、そういう疑問か。質問者は……そちら、噂で引っきりなしの三次元宇宙を統括されている方ではないか。それならば話が早い。そちらで噂の中心になっているような「例の地球人と超巨大宇宙船」ですな、そのような巨大な力やユニーク極まりない能力を持つ者たち、いや、存在達を集めてですな……〉


〈〈まあ、手っ取り早く言うと、宇宙の空間と次元と時間の3方向を全てカバーする巨大な力と権限を集約させた対犯罪組織を立ち上げようという事で……おや?何か反対意見でも?〉〉


「説明されて、ようやく理解ができましたが。そんな組織も能力者も、ホイホイと惑星上で昆虫を集める風に集合させられると思ってるんですか?!私のところの、例の超巨大宇宙船クルー達でさえ、あれだけ少人数でやりたいことやり放題なんですよ……まあ、根本的に宇宙を平和に、生命体に優しい宇宙にしようって目標は理解できますし、結果も破壊じゃないので助かってますが……この計画を進めるなら、一言だけアドバイスしておきます。メンバーに、神や仏は入れちゃダメですよ」


〈おや?何故でしょうか?神や仏は絶大なる能力者ではないですか。真っ先に、この部署のメンバーとして候補に上がるんですけど〉


「こういう、超のつく大規模犯罪なんてのは悪意が無いものが多いですよね。そんな犯罪とも言えない事件に関わるのに神や仏を入れたら絶対に無実で釈放になりますよ。事件は事件、罪は罪、個人的に酌量の余地はあっても、それを最も抑止しなきゃダメな部署でしょうが。ということで、こういう事件を扱うのなら、死神や悪魔、意識体でも魔王側に入るような生命体を推奨しますね、私なら」


〈〈うーむ……言われてみれば、たしかに。しかし、悪を悪が取り締まるってのは大丈夫なのか?〉〉


「大丈夫でしょう。悪というのは善と同じ。立場や状況が、その存在を善と呼び、また状況や立場が変わると同じ存在が悪と呼ばれるだけのこと。要は、確固たる信念があるかどうか?それだけですよ」


〈ふむ、確固たる信念、か。精神体には難しいかもな。そういった、確固たるものに依存しないのが精神体であり、それゆえ、あまり外部とは頻繁に関わろうとしない〉


「まあ、それじゃ候補にも入りませんよ。次元や時間を渡る時、あまりに確固たるものが薄いと時間や次元の狭間に墜ちてしまいます。助けられ無くなるような事態になることは、あまりないと思いますが……それでも、三次元宇宙にない角度から出現する見えない猟犬たちとかに食われてしまう恐れも、少しはありますので」


〈〈それでは、精神体は管理職でどうかの?あらゆる場所や次元、時間へ行ける存在など精神体なら可能な奴らが一部だが、おるぞ。精神体は能力の縛りが大きいが、現場での実力行使や逮捕などの実体を伴う行動をしない限り、連絡係も兼ねた管理職にピッタリじゃろ〉〉


〈それは重要なご提案として残しましょう。で?管理職を選ぶ際に、そちらの候補リストもいただけるんですよね?〉


〈〈言質をとられたのぅ、仕方がない。組織の立ち上げが始まるまでには、リストを作成して渡そうか〉〉


「精神体が管理職で決定すると、我らのような実体を持つ生命体は実行班と言うことですな。とりあえず、かの超巨大宇宙船クルーにも遊撃隊として非常任ではありますが参加してもらうのは当然として……別次元で活躍している魔神スライムや、勇者も一撃で退けた魔王とか候補は多いんですがねぇ……大規模な次元・時間犯罪集団なんてのに関わる捜査班として常任してもらうのが難しい存在ばかりなんですよ。あまりに能力や力・エネルギーがずば抜けた存在というのは、その世界や星・次元での重要な「柱」になってる事が多いものですから」


〈うむ、それでも常任してもらう捜査班は確実にいなきゃならん。常任捜査班が人員不足となれば、即座に非常任の遊撃隊に参加してもらうことになるのだから〉


「そう……それが理想なんですけど……自分の所属する次元や宇宙を離れたがらない者たちが多いんです。特に実体を持つと、その空間に馴染んでしまうんでしょうかね、別次元や時間を移動する際、変質してしまうような生命体も多いのです」


常任の捜査班を選び出す方法や、非常任の遊撃隊に所属する生命体達に事前了承をもらうこと、そして最重要の問題としては……

その常任捜査班の設置場所を何処にするのか?

それに尽きる。

異次元、超未来(時空の果て、宇宙の最終エンドの数億年)、天国、桃源郷、エデンの園、時空の最初期(時間も空間も溶け合って、時空の卵と化している状況)と候補は色々、様々なものが出たが、どれもこれも一長一短があり、うまくいかない。


「いっそ、亜空間とか?」


〈それも可能性として有りだが……一つ、致命的な欠点があるぞ。亜空間は、どの次元や時間とも共通点がない。よって、亜空間に基地やベースを持つなら、どこかの次元や時間に楔を打ち込み、それを基準として基地を繋ぎ止める事が肝心だぞ〉


〈〈それはマズいな。楔を攻撃されて破壊されてしまうと、基地そのものが何処かへ漂ってしまうことになる。見つけるのは至難だぞ〉〉


「隠れ家としては最善になるんでしょうが、ベース、基地としての役には立ちそうもないですね。いっそ、悪人の巣ということで「地獄」なんてどうです?」


〈地獄?参考意見として考えるに適しておるが、どうして地獄を候補に入れた?〉


「いや、天国も異次元もダメだって言うから、それなら地獄はどうかなと……」


〈〈おぉ?いや、これは……良いかも知れんぞ。特に、閻魔庁や他の役所には、捜査班に役立つアイテムが数多くあるではないか〉〉


「では、すいませんが、交渉は、そちらで。こちら、現実界のほうから地獄へアクセスするのは特別なチャンネルを必要としますので。そちらなら簡単ですよね?」


〈〈簡単とは言うがの。我々魔神や神の段階になると様々な縛りがあっての……まあ、同じ神に属する閻魔へ連絡するくらいは普通に可能じゃが〉〉


「では、捜査班の常置場所、というか基地の設置場所は地獄ということで。できれば閻魔庁の一室がもらえるとありがたいですね。で、精神生命体の方からは管理職と言うか、捜査班と上部管理組織への連絡と現場の把握をできる方をお願いしますね。上が現場を知らないというのは最悪ですから」


このような経緯で、地獄の閻魔庁の一角に超時空犯罪対策室が作られることとなったわけだが……


「何で、俺がこんなところにいるんだよ……言っておくが、俺は、ごく普通の人類種、地球人のサンプルとして通用するくらい普通の人間だぞ?」


「またまたぁ……先輩、超犯対(略名)のメンバーに、初っ端から選ばれたっていうじゃないですか。すごいですよねぇ、ステゴロで精神体すらもブチのめす力の持ち主なんて、そうそういるもんじゃないですよ」


「で?いつの間にか俺の隣の席にいる、あんた……一応、後輩になるわけなんだろうが……誰だ?どういう特殊能力持ってるんだ?」


「あ、ようやく俺に興味もってくれたんすね、先輩。俺、!””##$%%って言います……ありゃ?言語翻訳機の調子が悪いのかな?」


「ああ、それな。その翻訳機、名前とか固有名詞のようなものは翻訳に時間がかかるらしいぞ。音で示すのか、意味で示すのか、それを決めないとダメらしい」


「あ、そういう事ですか。俺、鬼の一族です。名前は……意味で翻訳してくれると……あ、OKみたいなんで……ヒイラギ童子の息子です。物理的には無敵なんスけど、聖なる刀や剣、逆に魔剣や妖刀などには、あっさり斬られるという……だから、ここの装備、防刃ベストには助かってるんス」


「そういうことか。現地採用の一人ってことだな。未だに、この部屋にいるのが俺達二人だけってことは、まだまだ人選に時間かかってるってことなんだろうなぁ……」


「そうみたいっすね。この閻魔庁統括官の閻魔様にダイレクトに引き抜かれて、俺はここに来たんですけど。どうも、ここの捜査官……というか、現場対応の何でも屋と言うか……そういう奴は何かの特殊技能を持つか、圧倒的な「力」を持つやつが適任みたいっすね。閻魔様、他にも候補者リスト見てましたが、俺の他には数人しか載ってなかったっすよ」


「そうかぁ……机は10あるんで、8人は後で来るってことなんだろうが。上司とか、統括管理官とか、どうするんだろうね?俺が聞いたところじゃ、相当にヤバイ職場らしいぞ」


そこまで広い部屋ではないが、たった二人しかいない部屋は、まだまだ広すぎると感じる。

俺を、ここにリクルートしたやつの話じゃ、外部からの応援として常駐班の数倍の人数が確定してるらしいが、どうなることやら……


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