政略結婚の裏側
初投稿です。
「僕と結婚してくれませんか」
「はい?」
目の前の御曹司・桐生肇さんは何をおっしゃるんだろうか。脳が処理できない。偶然お気に入りの居酒屋が一緒で仲良くなっただけでも脳はパンク寸前なのに。
「僕は父の会社の跡取りなんだ。周りが結婚をしろとうるさくて。」
「あぁ。そうでいらっしゃったんですね。」
知ってますとも。同じ業界の人間なら誰でも知ってる。うちはあなたのところの足元にも及ばないぐらい小さいけど。
「孫はまだかといつも言われててね、、」
「桐生さんにはもっとお似合いの方がいらっしゃいますよ。
にっこりと言ってやった。イケメンでお金持ちで背も高くて、理想の旦那様だが、そんな世界には正直飛び込みたくない。
「君は美しくて、学歴もしっかりある。なんせ二人とも同じ業界で働いているからお互いの仕事の理解もあるし、〜〜〜」
なるほど。政略結婚の上で条件はいいけど力を持っていない人間を探していた感じか。御曹司も大変だなぁ〜。
っていうか、この人に同じ業界で働いていること話してたっけ?
「ということで、了承してくれるかな?」
あ、話終わった。
「ありがたいお話をありがとうございます。お時間を頂けないでしょうか?」
「もちろんだよ。いい返事を期待している」
、、すごく爽やかな笑顔でこっちを見ないでほしい。スマートすぎて私にはこの人は合わない。
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緊張する。グラスを持つ手が震えていて、手汗も凄くてグラスを落としそうになる。
しかし、失敗は許されない。失敗したら俺の心が死んでしまう。
12年もストーカーしてきたんだ。彼女の思考回路は基本頭に入っている。
いける。
「僕と結婚してくれませんか」
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