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別次元の領域(2021年版)  作者: 草茅危言
第玖章 無機知性体編
93/120

第93話 ETAOIN SHRDLU

カクヨムでの投稿も少し落ち着いたので、

最新話の投稿の方も少しずつ再開していきます。

玖球(クーゲル)連合にて。


火蟻(ヒアリ)の大群を撃破した、【蝙蝠山卿】と【幽者】ユゲタイ。


続いて、彼らの前に立ち塞がるのは、豚人間(オーク)細胞を注入された、

活力吸鬼エネルギーヴァンパイアや、反知性主義者や、

努力教教徒のエリマキトカゲ共である。


背中合わせに立った二人は、禁術を発動する。


【刻印術】で互いに刻み込んだ術式、

【アンダの誓い】による、【通信術】を用いた連携。


さらに、互いの眷属である式神を、【使用許諾(アンロック)】により、

互いの魔力色(オーラ)を一時的に共有する。


そして、その連携攻撃の威力は、

両面宿儺(りょうめんすくな)】の加護によって、上昇する。


二人が互いの罪悪感を共に背負いながらも、

これから解き放つのは、食人の前科を持つ獣達。


【袈裟懸け】と【ジェヴォーダンの獣】。


「喰らい尽くせ!邪悪なる牙を持つ獣達よ。」


ネメシス・ダムドも(ビースト)形態(モード)

「マンティコア」に変形し、攻撃に加わった。


そして、一方的な蹂躙の後に、

玖球(クーゲル)の地における戦闘は終結した。


敵側を率いていた、幹部級の豚野郎(オーク)は、

いつの間にか、テッタインを飲んで、

飛蝗に姿を変えて、撤退していた。


――――――――――――――――――――――――――――――


その頃、荒脛巾(アラハバキ)皇国(おうこく)にて。


「「アンモニアバーン!!」」


豚野郎(オーク)共が、アンモニア水の入ったビニール袋を

コンクリートの地面に叩き付ける。だが、それだけではなかった。


「アンモニア!インドール!スカトール!」


アンモニアだけでなく、インドールやスカトールも加わって、

世界中の下水を集めたかのような臭いが充満する。


登戸研究所に帰還した常井氏が、塩酸が主成分の

塩素系洗剤で、アンモニアを中和させたのだが。


「塩化アンモニウムは、体にいい~っ♪」


その際に、発生した、塩化アンモニウムの白煙の中から、

豚野郎(オーク)の恍惚とした声が聞こえてきた。


豚人間(オーク)と共生関係にあるという、

連中の肘から生えているジャガイモの芽の様な植物は、

連中を漸次回復しているが、塩化アンモニウムは、

塩安とも呼ばれる、肥料の一種であり、その回復力を増強させ、

結果として、塩化アンモニウムの白煙を浴びた

豚人間(オーク)族が回復してしまった、ということらしい。


「なァ?荒脛巾(アラハバキ)皇国(おうこく)の王子様よォ。

俺達に何度も警告してきたよなァ?今度は俺達の番だァ。

これ以上、邪魔するっていうんなら、容赦はしねぇ!」


「左様か。どうやら、お互いに言葉が通じないようですな。

では、我々は水と油の様な、決して相容れることのない関係だろう。

私は、大皇(おおきみ)から、この登戸研究所の運営を

任されている以上、ここを退くつもりはない。

()してや、この地を穢すのであれば、

こちらも、荒脛巾(アラハバキ)の民として、貴様らを容赦はしない。」


そのとき、玖球(クーゲル)連合から転移してきた

豚鬼殺戮者(オーク・スローター)が常井氏の背後に立っていた。


「じゃ、今のが遺言ってことでいいんだな?」


常井氏が振り向いた瞬間、豚鬼殺戮者(オーク・スローター)は、

例のバット杖から桃色光線を発射した。


「爆発しろッ!」


そして、常井氏に向けて発射された桃色光線が

地面に当たった瞬間、爆発が起こった。


――――――――――――――――――――――――――――――


爆発の煙が消えた後、そこには誰も残っていなかった。


「殺ったか?」


足技の「開き足」を昇華した、影属性の魔術【不知火】を

行使し、常井氏は、豚鬼殺戮者(オーク・スローター)の背後に立つ。


「勝利宣言は、死体を確認してから行うのが基本だろう。

その程度のことも分からぬ幼稚な者が起こす爆発など、

児戯にも等しい。折角だから、ご教授して差し上げよう。

爆発というのはこういうものだ。オクタニトロキュバン!」


先程の意趣返しではあるが、常井氏が指を指す、

超高高度の上空に生成されたオクタニトロキュバンに、

常井氏の魔力色(オーラ)である、緑の雷が直撃し、爆音を奏でる。


「あばばばば」


その轟音は、豚鬼殺戮者(オーク・スローター)が、恐怖のあまり、

奇声を上げながら、腰を抜かす程であった。


「ご満足頂けたようですな。これ以上の威力をご所望なら、

核兵器か、反物質兵器しかないが、核兵器は放射性物質が出るのでね。

必然的に、反物質兵器を披露することになるだろう。

とはいえ、その威力は、核兵器の比ではないので、

無闇矢鱈と使うわけにはいかないのだよ。」


常井氏は、(わら)いながら、豚鬼殺戮者(オーク・スローター)へと

にじり寄っていく。(あたか)も、講義中の机間巡視の様に。


勿論、豚鬼殺戮者(オーク・スローター)は、撤退を余儀なくされた。


だが、一難去ってまた一難。


豚鬼殺戮者(オーク・スローター)が去った直後に、

楯椅子鉋(たていすかんな)が、登戸研究所に転移してきた。


――――――――――――――――――――――――――――――


突然、登戸研究所に転移してきた楯椅子鉋(たていすかんな)

常井氏が質問をする。


「おや、君は、サンケベツ村の蝦夷(えぞ)エルフではないかね?

確か、エズ君だったか?まさか、転移術が使えるとは・・・。

それで、この登戸研究所に何か用かね?蝦夷(えぞ)共和国からの

付属校への留学か?それとも、研究生として聴講か?

いずれにせよ、編入希望者には試験を受けてもらう。」


「私は、エズという個体名のサンケベツ村の蝦夷(えぞ)エルフではない。

私の個体名は、楯椅子鉋(たていすかんな)。無機知性体QWERTY(クォーティ)

記憶を【思念共有】する人造人間(ホムンクルス)に過ぎない。」


「では、無機知性体の君が何の用だ?」


「ここで、この【術理の世界】に存在しない【理外の術】を使う者と

数分前に交戦した(はず)。その行方に関する情報の提供を希望する。」


「確かに、数分前に豚鬼(オーク)共と交戦したが、

連中が使ったのが、この世界に存在しない術だというのか?

情報を提供してやりたいとは思うが、

その情報を手に入れて如何するつもりか?」


「勿論、排除処理を執行する。」


「連中の行方に関する情報だが、その転移先を追跡する術が無い。

(むし)ろ、こちらが知りたいぐらいだ。」


「情報は、推測でも構わない。」


「少なくとも、ある程度の距離は取っただろう。

ここではない何処(どこ)か・・・蝦夷(えぞ)共和国か、

玖球(クーゲル)連合という可能性もあるが。」


「捜索範囲が広すぎる。」


「そう言われてもな。ここで情報を待つか?」


「では、ここに来たもう一つの目的について。ここで、

【パウリ効果】という技能(スキル)が発現した者がいる(はず)

現在、【パウリ効果】の所有者は何処(どこ)にいる?」


「・・・・・・。その居場所を知ってどうするつもりだ?」


「【パウリ効果】の所有者が我々【無機知性体】と

敵対するつもりであれば、脅威となり得る。

その場合、可及的速やかに始末する。」


「敵性行動を取る可能性がある者に対して、

情報を提供するつもりはない。お引き取り願おう。」


常井氏にとって、研究生の二人の青年は、

既に、弟の様な存在として認識されている。

危害を加える可能性がある相手には、容赦しないつもりであった。


「待ち(たま)え。」


だが、そこに待ったをかける存在がいた。


――――――――――――――――――――――――――――――


ブルクドルフ氏である。


「彼らはここに研究生として在籍しておる。

待っていれば、(おの)ずと会えるであろう。」


「ちょっと、何故、そんなに簡単に情報を与えるのですか?」


「私は、彼ら【無機知性体】と契約しているから、

知り合いみたいなものだが、あの子達にとっても、

良い修行相手になるのではないか、と思ってね。

ところで、ETAOIN(エタオイン) SHRDLU(シャドルー)卿は息災かね?」


眼前の空間が避けて開く。そこに次元の裂け目があるかのように。

空間に穿たれた穴から、QWERTY(クォーティ)の機体が現れる。

その機体には、QWERTY(クォーティ)の上長である、

ETAOIN(エタオイン) SHRDLU(シャドルー)の記憶が降臨(ダウンロード)していた。


ETAOIN(エタオイン) SHRDLU(シャドルー)」は、かつての組版の慣習であり、

この無意味な文字列は、英語における文字の出現頻度の高い順に12文字

並べたものと殆ど同じで、これ以降の文字も含めた完全な文字列は、

「ETAOIN SHRDLU CMFWYP VBGKQJ XZ」となる。


「旧キ友ヨ、我ハ此処ニ在リ。」


「久しぶりだな。ETAOIN(エタオイン) SHRDLU(シャドルー)卿。

旧交を温めたいところではあるが、

まずは、先程の情報の対価として、幾つかの依頼がしたい。

君達【無機知性体】にとっても、【パウリ効果】の所有者の

精神が安定し、己の技能(スキル)を統御できる方が望ましいであろう?」


こうして、ブルクドルフ氏とETAOIN(エタオイン) SHRDLU(シャドルー)の間で、

幾つかの契約が交わされ、【有機知性体】と【無機知性体】が

同盟に向けて動き出し、同時に、この【術理の世界】の住人達と、

異界から侵略しにやって来た豚野郎(オーク)共との、

戦争の行方もまた、大きく動き出すこととなる。

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