第82話 【ベン・ジョニー】の処刑 (※【残虐描写有・閲覧注意】)
今回の第82話は、死刑制度に関する議論を風刺しています。
念の為に、という意味で、
「<R15> 15歳未満の方は移動してください。
この作品には 〔残酷描写〕 が含まれています。」
と表示して保険を掛けておく作品も多いですが、
今回は、主題が「処刑」なので、
保険的な意味ではなく、真の意味で「残酷な描写」が含まれています。
苦手な方は、本話を飛ばして読んだ方が良いかも知れません。
今回は作者自身も書いていて鬱になる程なので。
その場合は、玖球帝国編の続きから再開なので、
更新予定は11月上旬の予定。
荒脛巾皇国の首都、荒脛巾。
【ベン・ジョニー】は、拘置所に拘留されていた。
【読心の宝珠】を持ったブルクドルフ氏が、
【ベン・ジョニー】の記憶を覗く。
前世は、豚人間族だったこと。
既に、表の世界の地球上で殺戮を犯していること。
そこで、豚人間としての前世の記憶と、
【ベン・ジョニー】の肉体を【幽体分離】させる。
肥満体だった、【ベン・ジョニー】は痩せ衰える。
このうち、肉体の方は、豚人間としての
前世の記憶が目覚める前の記憶を基本として、
記憶を整合した上で、表の世界の日本へと送り、
日本を経由して祖国へと帰す。
【幽体分離】した、豚人間の魂は、仮の肉体として、
【ベン・ジョニー】から分離した、脂肪や筋肉、骨や血液を用いて、
作成した、人造人間に受肉させる。
荒脛巾皇国の法に従って、
裁きを与え、その罪を贖わせるために。
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日本は死刑存置国である。しかし、国際的には、
死刑廃止の方向で世論が動いており、国際的な
死刑廃止運動の団体から圧力を掛けられている。
これは、内政干渉に他ならない。
まず、死刑反対派の主張を示すと、
「冤罪だった場合に取り返しがつかない」
という理由が挙げられる。
だが、死刑反対派の弁護士であっても、
身内が殺された場合、死刑賛成派に転じることがある。
逆に、死刑賛成派が死刑反対派に転じる可能性はあるだろうか?
日本では、死刑賛成派が多い。
では、若し、死刑判決を出した場合、関係者は、
執行時の立ち会いが義務づけられたとしたら?
最期まで見届ける勇気と責任感のある者以外は、
殆どの賛成派は、反対派に転じるのではないだろうか?
執行時の立ち会いを強制されるのは違憲だって?
よく考えてみてほしい。
裁判員は赤紙の召集令状の如く、強制徴募ではなかったか?
一応、日当は出るけれど。
また、上告や控訴によって、二審、最終審において、
本職の裁判官によって判決が覆されることもある。
それなら、何の為に参加したのか、と不満を抱くだろう。
結局、裁判員制度は、ヨーロッパやアメリカの
陪審員制度の猿真似に過ぎないのである。
では、荒脛巾皇国の司法は、
果たしてどうなっているのか?
日本の司法制度と比較してみよう。
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一応、荒脛巾皇国にも、死刑は存在する。
治安が良いため、滅多に死刑判決が出る様な犯罪は起きないのだが。
また、関係者には、執行時の立ち会いが義務づけられている。
そして、処刑の様子は、映像記憶媒体に記録され、
希望者は公文書として閲覧が可能となる。
さらに、荒脛巾皇国では、
死刑執行後に、冤罪が判明した場合、
検察官が自白を誘導尋問したとか、
裁判官が感情論で短絡的に死刑判決を出したとか、
そういうことが後に判明すれば、彼らも処刑される場合がある。
これは、司法の腐敗を防ぐための処置であるが、
安易に死刑判決が出ない理由でもある。
日本にはない刑罰もある。
・終身刑:冤罪を考えると、最も妥当。
日本では税金の無駄だと言われそう。
・流刑:島流し。最低限の配給と監視が付く。
終身刑よりも税金の無駄は少ないかも。
・仇討ち制度:日本では1873年に廃止されている。
・宮刑:強姦や痴漢を繰り返す輩は去勢する。
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続いて、処刑方法。
日本では、絞首刑で、刑務官が死刑囚の首に縄を掛け、
別の刑務官が三人同時に、床板を外す装置の三つの釦を押す。
これは、刑務官の心理的負担を軽減するための措置である。
吊して、20分から30分経過後、死刑囚の絶命を確認し終了。
執行に立ち会った刑務官には、賞与が出る。
一人で三つの釦を同時に押したら、
三倍貰えたりはしないのだろうか?
でもそうすると、喜々としてやりたがる人がいるかも知れないからな・・・。
他にも処刑方法は斬首、銃殺刑、薬殺刑、
アメリカの電気椅子、フランス革命のギロチン、
等と色々あるが、こうして書いてみると、結構野蛮かも知れない。
荒脛巾皇国での処刑方法。
予告なしで、獄中の食事に睡眠薬を混ぜる。
眠っている死刑囚を棺に納棺し、生きたまま火葬。
基本的には、この方法によって処刑が行われる。
この方法による刑務官の心理的負担は、
極めて少ないと思われる合理的な処刑方法だ。
地球上だと、「ファラリスの雄牛」が近いかも知れない。
因みに、玖球帝国では、死刑制度自体はないものの、
逮捕時に抵抗した場合、公務執行妨害扱いで当義殺が成立するため、
その場で殺害されても文句は言えない。
或いは、電気首輪を装着されて、
鉱山奴隷等になることを選ぶか、だが。
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豚人間の方の【ベン・ジョニー】の処刑当日。
処刑人の陰陽術士が式神【火車】を召喚する。
【火車】は、悪行を積み重ねた末に死んだ者の
亡骸を奪うとされる妖怪である。
豚人間の方の【ベン・ジョニー】は、
こうして豚の燻製となったのであった。
読了お疲れ様です。申し訳ないですが、鬱になったとしても、
前書きで警告している以上、自己責任ということで。
今回は作者自身も書いていて鬱になる内容でしたが、
社会問題を風刺する以上、避けては通れない話題なので。




