第81話 「多く刺さったら、オーク笹!」
今回の第81話は、移民問題に関する議論の風刺なので、
本編からは少し脱線しますが、豚人間族が
人間を憎む理由の一端が示されます。
飛ばして読んでも、本編には殆ど影響はないので、
社会批判や風刺が苦手な方は、飛ばして読んでも構いません。
その場合は、玖球帝国編の続きから再開なので、
更新予定は11月上旬の予定。
郡山青年と弓削青年、ネメシス・ダムドの三人は、小隊を組んだ。
今回は常井氏も臨時加入する。小隊名は特に決まっていないが、
三人とも、垂直尾翼の政治結社【草茅危言】の一員となった。
政治結社【草茅危言】の題目は、
「日本人の日本人による日本人のための政治を」
である。最近入国する外国人、いや、外人と呼ぶべきか、
その中には、我が国の主権を脅かす「害人」とでも呼ぶべき輩がいる。
ここでは、そのような不愉快な「害人」の例を示す。
彼の名前は、仮に【ベン・ジョニー】とでも呼ぼうか。
実際、彼は、便所に出没しそうな、
まさに「害人」と呼ぶに相応しい人物だ。
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俺様の名前は、【ベン・ジョニー】。
国籍は伏せるが、英語圏の国の出身だ。
実は、俺様には前世の記憶ってヤツがある。
俺様の前世は、豚人間族だった。
いつそのことに気付いたのかって?
それは、俺様がまだ小学校の頃のことだった。
太っていた俺様は、同級生達から酷いいじめを受けていた。
川に突き落とされて、風邪を引いたりする羽目になったこともあった。
ある休日。俺様は、ゲームをしていた。
そのゲームは、日本製のオンラインゲームだった。
「多く刺さったら、オーク笹!」
その時期は、七夕の季節イベント期間中であり、
槍や弓で多くの豚人間を退治すると、
イベントアイテムの笹の葉をドロップする。
そういえば、今日七夕だっけ。このゲームをしているおかげか、
俺様は、日本の文化にも詳しくなっていた。
明日からまた学校が、あの憂鬱な毎日が始まる・・・。
いや、今は忘れて、笹の葉に短冊を吊そう。願い事は・・・。
―学校なんて無くなれば良いのに。あいつら皆、死んでしまえ!―
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その翌日、学校帰りにいじめっ子どもの手によって、
俺様は、また、川に突き落とされる羽目になった。
さらにその翌日、俺様は、高熱が出たため、学校を欠席した。
近所の医者に行き、薬を処方されて帰ろうとしたときだった。
空に紅い月が出た?
その直後、未曾有の地揺れと共に轟音がした。学校の方から。
学校に隕石が落ちたのだ。
校内にいた者は、教職員も生徒も、全員即死だったようだ。
最初は、正直、ざまぁみろ、って思った。
学校は転校になった。転校先の学校では、周囲が心配した。
「前の学校に友だちはいなかったよ。」
そう言っても、周囲の反応は大げさになる一方だった。
自分だけ生き残ったことによって、精神的ショックを受けているとでも
思われているんだろう。度々、カウンセリングを受けさせられた。
でも、そんなある時思い出した。
笹の葉に吊した短冊に書いた願い事を・・・。
ひょっとして、彼らを殺したの俺様じゃね?
そして、その日の夜に夢を見た。
「出でよ、【死兆星】!」
俺様が人間の発声器官では再現不能な呪文を詠唱すると、
巨大な隕石が空中に出現し、人間達の上に落下した。
俺様はそれを見て高笑いをしていた。
何故なら、こうして人間の集落で、殺戮・略奪・破壊をするのが、
俺達、豚人間族にとっては、当たり前の日常だったから。
そう、俺様の前世は、豚人間族だったのだ。
俺様は、成長するにしたがって、段々粗暴な性格になっていった。
だが、同時に人を騙す能力に関しても上達していった。
ある日、周囲が心配するのを逆手にとって、
精神面での治療のため、日本に行きたいと言ってみた。
もちろん、一人で行く。周囲は、心配したが、
日本製のオンラインゲームに親しんでいたことが、
説得力になったのだろうか、あっさり認めてくれた。
だが、日本に行く理由は、全く逆だった。
俺様にとって真の同胞である、豚人間狩りをするような
ゲームを作った、日本人に復讐するために行くのだ。
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一方、日本にて。
就職氷河期の頃、多くの若者が集団自殺をしたことがあった。
彼らの死後、その魂は、ある異界にて、
召喚勇者一行やら、冒険者やらに転生した。
その異界は、文明としては、中世ヨーロッパ程度ではあったが、
前世のゲームにありがちな、幻想の世界観、
所謂、「剣と魔法の世界」に近かったからか、
現代日本からやって来た転生者達は、
ある意味、「ゲーム脳」だったので、
この世界にも直ぐに馴染んでいった。
その異界には、豚人間が跋扈し、欲望のままに
強姦だの虐殺だの食人だのといった、悪事をやりたい放題。
その豚人間の群れの討伐依頼に参加した転生者達は、
自分達にこそ正義があると信じて、豚人間を駆除して回った。
だが、今度は殺された豚人間達が転生した。
かつて自分達を殺した人間達の出身、彼らが前世を過ごした世界へ。
そこで、人間へと転生した元豚人間達は、
自分達を殺戮した人間達を憎み、復讐を誓った。
これが彼らが「ゲーム脳」を憎み嫌う理由でもある。
前世の時点で既に邪悪であるため、同情する必要は全くないだろうが。
ある者達は、中学受験の塾講師、暴力団関係者、
国司の末裔の政治家、といった存在に憑依し、その者に成りすまし、
体罰と称して児童・生徒に暴力を振るって虐待したり、
塾の卒業生を集めて娼館を経営したり、敵対者を秘密裏に始末したり、
権力を利用してそうした事実をもみ消したりした。
【ベン・ジョニー】もまた、こうした連中の例に漏れず、
自らの欲望を満たすために、日本へ上陸した。
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俺様の名前は、【ベン・ジョニー】。
ついに日本にやって来たぜ。
手始めにコンビニやスーパーで略奪をする。
そのやり方はこうだ。
まず、普通に買い物をしようとする。
店員は俺様に傅く。偉くなった気分だ。
そして、レジで精算をする際、わざと合計より少ない金額を出す。
あ”?貧しい国から来たのかって?
まだバブル景気の頃のつもりか?
お人好しを通り越して究極の馬鹿だぜ。
逆だぜ?日本は長年のデフレで物価が安いから
俺達外人にカモにされてるんだ、って気づけよ。
すると、店員が「お客さん、お金足りませんよ。」みたいなことを
言うので、英語で早口でまくし立てる。英語の分からない店員は、
体格が上回っている俺様の剣幕に気圧されて、
泣き寝入りするしかないってわけだ。
警察?来るまでに時間が掛かるから、その前にトンズラするだけよ。
うるせぇよ。俺様は馬鹿だから日本語難しくて分かんねぇんだよ。
だから、テメェらが俺様に合わせて英語で話せよ~。オラオラァ。
日本に仕事に来ている奴がそんなことを言ったら、それは甘えだ、
と思うよな。でも、実際、日本人は甘いから、俺達に合わせて、
英語で話そうとしてくるぜ。thの発音とか、LとRや、BとVの
区別とかは滅茶苦茶だけどな。逆に、英語圏に来た日本人が
「英語が分からないから日本語で話せ」と言っても
相手にもされないだろうがな。これが文化的侵略ってやつだ。
日本に来た外国人は、
「サムライ」「ニンジャ」「スシ」「テンプラ」「フジヤマ」
とか知っている単語を3個から5個ぐらい並べて、
「ホラ、俺は日本語が出来るぜぇ。」」
と自慢する。そして、その逆は認めない。
日本人が外国の単語を数個言える程度でしかなければ、
露骨に馬鹿にする。おお、何という二重の基準!
そういえば、日本の法律では、日本語を公用語にしていないらしい。
憲法改正とか言っている連中も、この点を議論すらしていない。
かつては、英語公用語化論なんてものもあったらしいし、
このままだと、英語圏の植民地にされてしまうかもな。
次は、人通りの少ない道でナンパ開始だ。
最悪、強姦して混血児を生ませて、同情を引くことによって、
配偶者ビザを取得しようって連中もいるぜ。
アフリカ辺りから移民でも受け入れたら、治安が悪くなって、
物騒だから、夜に通りを歩けなくなるだろうよ。
また、日本には死刑制度があるらしいが、
俺様の国では死刑制度は既に廃止されている。
日本人が俺様を殺した場合は、確実に死刑になるだろうが、
俺様が日本人を殺しても、国際的な死刑廃止団体から
圧力をかけてもらえば、日本の裁判官は俺様の祖国に忖度して、
死刑には出来まい。内政干渉だって?ああ、その通りだぜ。
つまり、俺様は日本人を殺し放題だが、
日本人の連中に俺様は殺せねぇってことだよ。
事実上の不平等条約さ。ここまで考えた俺様は天才だな。
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そんな感じで、【ベン・ジョニー】が日本で暴虐を重ねていると、
急に霧が出て来た。辺り一帯、周囲が視認できない程に。
「何だぁ?ここはロンドンかよ?」
辛うじて、鳥居が視認できる。鳥居の真ん中は神様の通り道らしいが、
知ったことじゃないね、と【ベン・ジョニー】は傲慢にも、
鳥居の真ん中を通過する。すると、霧が消えて、景色が変わる。
さっきまでいた市街地とは、雰囲気が違う。
何十年分、或いは、何百年分か、古い街並み。
携帯電話の位置情報は・・・圏外だと?!
「どうした?若いの。迷子かね?」
頭巾付きの黒装束を来た老人が声を掛けてきた。
何だこの爺さん。俺様が用があるのは、大和撫子であって、
断じてこんな爺さんではないぞ。しかもこの爺さん、あろうことか
ドイツ語で話しかけてきやがった。小中高と学んできたが、
国語である、第一言語の英語の成績でさえかなり低い方なのに、
数年学んだだけのドイツ語なんて、全然分からねぇよ。
無視しようとする【ベン・ジョニー】だったが、
いつの間にか、背後に立っていた老人に、
万力の如く強い力で肩を掴まれた。
実は、この老人こそ、あのブルクドルフ氏である。
「ここは、荒脛巾皇国の首都、荒脛巾。
私は君が日本から来たことを知っている。
勿論、君がしてきた行いもな。
その乱暴狼藉、決して看過出来ぬ。」
「うるせぇよ。何をしようが俺様の自由だろうが。
怪我したくなかったら引っ込んでろ、爺さん。」
だが、警告をしたにもかかわらず、
ますます肩を掴む力が強くなったので、
老人を殴ろうと、拳を突き出す。
「聞こえなかったのか?ジジイ!」
しかし、拳を突き出したことで、重心の均衡が崩れ、
老人の足払いによって地べたを舐めることとなる。
一瞬何が何だか分からなかった。
何で、俺様は地べたを舐めているんだ?
「これにより、正当防衛が成立する。
仮に殺してしまったとしても、
当義殺が成立するだろう。」
地面に倒れ、地べたを這いつくばる【ベン・ジョニー】。
その影から、ヒヒイロカネの赤い鎖が出現し、
彼を【影縫い】によって拘束する。
「クソォ!この鎖を外しやがれぇえええええ!」
「ガルバノ!」
容赦なく、赤い稲妻が【ベン・ジョニー】の身体中を駆け巡る。
「あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”」
そして、感電により、【ベン・ジョニー】は意識を手放した。
作者の描く外人像は、極端な例かも知れませんが、
日本人が外人に甘い性質を利用して、調子に乗っている
民度の低い外人は、確かに存在するので、警鐘の意味を込めて。




