表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
別次元の領域(2021年版)  作者: 草茅危言
第参章 蝦夷共和国編
34/120

第34話 【病みエルフ】との【幽合】

発想の経緯:

・弓削少年→幽体離脱中→精神のみの状態で、実体がない。

・病みエルフ→心無き身体からだを有している。

幽と体を融合させる→【幽体融合】→略して、【幽合】。

→【幽合】して、転生→『勇者』になぞらえて、【幽者】。

 幽体離脱した弓削少年は、【蝦夷(えぞ)エルフ】の短命種、通称【病みエルフ】の少年と【幽体融合】、略して、【幽合】をして、この地、【蝦夷(えぞ)共和国】に転生することとなった。


 【病みエルフ】の少年は、白銀の髪に真紅の眼、所謂(いわゆる)、「アルビノ」と呼ばれる容貌だったが、弓削少年と融合したことで、彼の黒髪と混ざり、黒に限りなく近い灰色、灰黒色の髪になり、眼の真紅もかなり薄くなった。


(あらかじ)め注意しておくが、興奮して昂ぶったりすると、【幽体融合】は解除され、『幽体離脱』ならぬ、幽と体の分離、所謂(いわゆる)、【幽体分離】、略して、【幽離】が起こる。言い換えれば、キレて意識が飛ぶようなものか。その場合、【病みエルフ】の白銀の髪に真紅の眼といった特徴が強く出てくるだろう。」


「俺もこの【病みエルフ】の少年も殆ど同い年ぐらいみたい。今、この少年の記憶というか、情報が流れ込んで来たんですけど。」


「人間の記憶は、言語などを司る『意味記憶』、運動などを司る『手続き記憶』、経験などを司る『エピソード記憶』、等に分類されるが、この少年の心は既に壊れてしまっているので、『エピソード記憶』以外の『意味記憶』や『手続き記憶』が継承されたのだろう。

とはいえ、10歳と10歳の記憶が合わさったから、精神年齢が20歳になる、といった単純な計算になるわけではない。」


「俺は弓削氏だから、木を削って弓を作るけど、この少年も【蝦夷(えぞ)エルフ】だから、実際に、イチイの木を使って、弓を作った経験があるようだな。そういえば、この少年には名前がないみたい。」


「【病みエルフ】は、【蝦夷(えぞ)エルフ】の短命種で、突然変異だ。その寿命は、長命種よりは短いが、普通の人族と同程度だ。それよりも、長命種よりも強力な魔力を有していることで、【祟りの子】として忌み嫌われていたから、名前も付けられていなかったのだろう。名前に関しては、君の名前をそのまま継承すればいいだろう。【幽合】しているから、新生【幽者】弓削泰斗、といったところではないかね。」


 【病みエルフ】との【幽合】。それによって、転生したから、【幽者】というわけか。


「ところで、もう元の世界には戻れないのでしょうか?」


「また、幽体に分離して、元の身体(からだ)に戻ればいいだけさ。この世界にいる間は、この世界を楽しむといい。敢えて名付けるなら、『どうぞ異世界の旅をお楽しみ下さいツアー』といったところか。」


――――――――――――――――――――――――――――――


 クネヒト・ループレヒトの【蝦夷(えぞ)共和国】における拠点。そこに一人の青年がやって来た。


(マイスター)・ブルクドルフ。また誰か拾ったんですか?」


 【クネヒト・ループレヒト】と名乗った老人は、ブルクドルフ氏というらしい。ブルクドルフ氏は、青年にこれまでの経緯を説明した。


「常井君か。彼こそが、【病みエルフ】と【幽合】した【幽者】弓削泰斗!どうだ、素晴らしい作品だとは思わんかね?」


 青年の名は、常井参狼(つねいさぶろう)。この老人の弟子で、荒脛巾(アラハバキ)皇国(おうこく)第参皇児(だいさんおうじ)らしい。


「弓削君というのか。君もこの変な爺さんに目を付けられて災難だったな。」


 常井氏は、ロシア帝国末期の怪僧ラスプーチンを思わせるような、黒髪長髪、痩身にして長身の眼光の鋭い巨漢だが、憐憫の視線を向けてきた。


「それで、どうだろう。彼の年齢なら、中等、及び、高等学校の8年間の教育を受ける権利があるのではないかね。」


「【蝦夷(えぞ)エルフ】の短命種で、突然変異でもある【病みエルフ】を荒脛巾(アラハバキ)皇国(おうこく)の学校に通わせろと?確かに、その特殊な出自を考えると、【蝦夷(えぞ)共和国】内よりは差別は少ないとはいえ、その莫大な魔力を抑えられる設備は当方にはないから無理ですな。」


「では、君が家庭教師に来るというのは?最近、【転移の鳥居】を習得したのだろう?」


「私は、これでも大皇(おおきみ)に教育行政を一任され、多忙の身なのですが?」


 (ちな)みに、この常井氏は、郡山青年と出会う10年前である。


「【魔導科学】は私が教えるから、君は時々でいいから、【陰陽術】を教えてやってくれないか。この少年は、【陰陽術士】の系統の家系の生まれらしく、ある程度の素養はありそうだぞ。」


(マイスター)がそこまで仰るのなら。あくまで無理のない範囲で、ですが。」


「では、【幽者】よ。私の弟子(アプレンティス)になれ。」


 ブルクドルフ氏は、実に愉しそうである。


「宜しく御願いします。」


「あまり期待しないでくれ。」


 一方、兄弟子、兼、新しい師匠となる常井氏は、あまり愉しく無さそうではあったが。


 こうして、弓削少年は、【陰陽術】と【魔導科学】の教育を受ける機会を得た。そして、8年間の修行を終え、最初の依頼(クエスト)を受諾した弓削青年は、初任務の地である、【蝦夷(えぞ)共和国】のサンケベツ村へと向かうのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ