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別次元の領域(2021年版)  作者: 草茅危言
第弐章 登戸研究所編
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第27話 【武器合成】

 【八高山】で、【八咫烏天狗】を護符に封印し、型紙化したことを公衆電話で【登戸研究所】に報告する。


 【鞍馬天狗】は、郡山青年が初見で【八咫烏天狗】を突破したことに驚愕し、戦慄した。


「何と末恐ろしい小僧だ。まるでかつての主殿の再来だ。」


 だが、その主殿である、常井所長にとっては、想定の範囲内だった模様。


「【九尾の火狐】に挑むための最低条件は満たしてきたか……。ただ、【九尾の火狐】に挑むにはもう少し戦力を強化した方が望ましい。早速だが、【八咫烏天狗】を型紙から召喚し眷属化するといい。それと、【拾番道路】から【代田】に向かい、【代田(だいた)ラボッチ】を封印してほしい。式神の戦力強化としても申し分ない筈だ。ではまた会おう。」


 報告を終えた郡山青年は、【八咫烏天狗】を召喚する。


「出でよ、【八咫烏天狗】!早速だが、貴公と契約を結びたい。」


「良かろう。貴様には、どこかあの青年の面影がある。かつての我が友、我が主のな。では、貴様を新たな友、新たな主として契約を結ぼう。」


 【八咫烏天狗】は、大皇(おおきみ)がこの地に転生した際、かつての朝敵を監視するための監視員として、この地に転移したらしい。


「我等は闇、我等は目に見えぬ者。黒は何物にも染まらぬ、究極にして完璧なる孤高の色。

その絶対的で圧倒的な力で(もっ)て、永久(とこしえ)の闇と、永遠(とわ)渾沌(こんとん)を与える力となろう。」


 契約が終わったので、先程の戦闘で、戦利品として入手した、【八咫烏の風切羽】と【烏天狗の仮面】の使途について尋ねると、前者は杖等の素材になるらしい。後者は装備時に飛行能力が付与される防具、とのこと。


 早速、【烏天狗の仮面】を装備してみると、背中から鴉の様な黒翼が生えてきた。飛翔と滑空を使い分けながら、飛行するらしい。


 現在午後1時過ぎぐらい。飛行訓練を兼ねて、【拾番道路】を『調布』方面へ飛んでいく。歩いていくよりは断然こちらの方が速い。


――――――――――――――――――――――――――――――


 午後4時過ぎぐらいに『調布』に到着する。【多魔川】を越えれば、【登戸研究所】に行くこともできるが、このまま【拾番道路】を『新宿』方面に進む。


――――――――――――――――――――――――――――――


 午後7時過ぎぐらいに【漆番道路】に交差する。【代田】に到着したその時、


「【代田(だいた)ラボッチ】が出たぞ~」


という声が聞こえ、サイクロプスの様な一つ目の巨人がその姿を現した。


 【代田(だいた)ラボッチ】との再戦である。


 激しい地揺れも、空を飛んでいれば全く問題がない。


 郡山青年と【八咫烏天狗】は、【代田(だいた)ラボッチ】の周囲を攪乱するかのように飛び回る。【代田(だいた)ラボッチ】は、羽虫を追い払うかのように両手を振り回すが、その重心が崩れて自重で倒れる、ということはない。


 拮抗状態である。


 先に仕掛けたのは、【代田(だいた)ラボッチ】の方であった。サイクロプスの様な一つ目から上空の敵に向かって、光線を発射。かろうじてこれを(かわ)す。


「光線の効果は定かではないが、当たらない方が良さそうではあるな。」


 再び、光線を発射してくる。


「顕現せよ、黒キ楯(シュヴァルツシルト)!【重力の(くびき)】を発動!」


 光線は楯に吸収されるが、光線の威力は凄まじく、楯を持ったまま、かなりの距離を吹き飛ばされてしまう。


 【八咫烏天狗】は、【代田(だいた)ラボッチ】に空からの猛攻を仕掛けるが、図体が大きいだけに、神経が鈍いためか、殆ど効いていないようだ。


 3回目の光線発射。


黒キ楯(シュヴァルツシルト)をアイギスに変更!石化光線!」


 【代田(だいた)ラボッチ】の光線と、アイギスの石化光線が相殺される。


 4回目の光線発射。


「アイギスを鏡ノ楯(シュピーゲルシルト)に変更!」


 光線は、反射された光線と激突する。おそらく、これも相殺はするだろうが、かなりの距離を吹き飛ばされてしまうだろう。


 自分と互角以上の相手と戦うときは、創意工夫が必要だ。郡山青年は、鏡ノ楯(シュピーゲルシルト)の向きを変えることを試みる。具体的には、【代田(だいた)ラボッチ】の足の方に向けて反射する。

 【代田(だいた)ラボッチ】の立っていた足場が崩れ、【代田(だいた)ラボッチ】は大地に片膝をつく。【八咫烏天狗】の攻撃も、【代田(だいた)ラボッチ】の体力を地味に削っていたようだ。


鏡ノ楯(シュピーゲルシルト)黒キ楯(シュヴァルツシルト)に変更!

そして、【重力の(くびき)】を発動!」


 【代田(だいた)ラボッチ】の重量をその巨躯を支える足が支えられなくなり、【代田(だいた)ラボッチ】は大地に倒れ伏す。


 【陰陽術】の護符を手にかざすと、【代田(だいた)ラボッチ】は、纏っていた瘴気とともに、黒紫色の魔素へと変わり、白紙の護符へと吸い込まれていったのであった……。


――――――――――――――――――――――――――――――


 【代田(だいた)ラボッチ】を護符に封印し、型紙化したことを公衆電話で【登戸研究所】に報告する。


 銅貨5枚を支払い、【第漆號地下鉄(メトロズィーベン)】に乗り、今度は、【上馬】駅で【第漆號地下鉄(メトロズィーベン)】を途中下車する。

 実は、この駅は、路面電車の『上馬』駅として、かつては、現実世界にも存在していたが、路面電車が廃線になった際に廃駅となった。駅の遺構は、その面影すらないが、バス停としては、現在も存在しているのである。


 そして、こちらの世界には自動車は存在していないので、『東名高速道路』は、モノレールになっている。そこで、銅貨3枚を支払い、このモノレールに乗って、【肆番道路】を南下すると、次は、【瀬田】駅。今は乗り換えないが、【第捌號地下鉄(アハトライナー)】の乗り換え駅でもある。

 この駅も、前述の路面電車の『瀬田』駅として、かつては、現実世界にも存在していた。同様に、路面電車が廃線になった際に廃駅となったが、こちらは五差路になっており、交通量が非常に多い。

 また、『瀬田』交差点は、『東名高速道路』の径路から外れている。つまり、このモノレールと『東名高速道路』の径路は少しズレており、必ずしも一致しているわけではない。


 続いて、【肆番道路】からは外れて、【多魔川】に平行に大きく曲がり、【大蔵】駅―未成線だったが、相武電気鉄道の計画にあった駅―を経て、【多魔川】を渡って、『神奈川県川崎市』―【橘樹郡稲毛領】―へ。

 ここで、『東名高速道路』の径路から外れて、【宿河原不動】駅に停車した後、『登戸連絡線』―現実世界の廃線跡は、その面影すらないが―の径路を経て、【稲田登戸】駅に停車し、さらに、一駅乗って、【登戸研究所】で下車する。


 【登戸研究所】で3枚の型紙化された状態の三羽烏を納品し、1枚当たり銀貨3枚なので、合計9枚の銀貨を獲得する。さらに、受注してはいなかったが、【代田(だいた)ラボッチ】の討伐依頼が既に出ていたらしく、事後処理を行うことになった。


――――――――――――――――――――――――――――――


[討伐依頼] 【代田(だいた)ラボッチ】の討伐

・場所:【代田(だいた)】周辺

・条件:対象の生死は問わないが、市街地に極力被害を出さないこと。

・報酬:金貨9枚


――――――――――――――――――――――――――――――


 さらに、【代田(だいた)ラボッチ】の討伐依頼の報酬も合わせて、現在の残高は、金貨23枚、銀貨45枚、銅貨3枚。


 午後10時、政治結社【草茅危言】の基地(アジト)へと歩いて帰還し、こうして、異世界6日目が終わるのであった。


――――――――――――――――――――――――――――――


 翌朝、この世界での戦闘にも慣れてきたが、【九尾の火狐】に挑むには、まだまだ戦力不足であることを痛感している、と言うと、ブルクドルフ氏が、【魔導科学】を教える、と言い出した。


 常井氏も講義がない時は、基地(アジト)に入り浸っている。


 そして、現在、実験室のような部屋にいる。目の前には、3Dプリンターに似た、巨大な機械がある。


「この機械は、【魔漆】の樹液を固めた樹脂で、造形を行う機械であり、【武器合成】に使う。【魔漆】の樹液は、魔力に反応する性質があり、造形の詳細は、これを用いて、魔力を操作するための魔術の術式として物体に刻まれる。これが、【刻印術】だ。君の元いた世界では、プログラミングの概念が近いかもな。」


 或いは、異世界小説に登場する「付与魔法」みたいなものか。


「【荏原三角商店街】で買った、十徳ナイフが有っただろう。十徳ナイフは、【荏原三角商店街】に限らず、【登戸研究所】でも、『溝ノ口』でも、『川崎』でも、『町田』でも、【八高山】でも、店で購入することが可能な汎用素材だが、3本束ねて、ナックルと合成すれば、【鋼鉄の(クロー)】という、折り畳み式の爪になる。」


 ナックルに関しては、手持ちがあるので、早速、試してみることにする。


【所持品】

十徳ナイフ×5

ナックル×1


――――――――――――――――――――――――――――――


【武器合成】


十徳ナイフ×3

ナックル×1

   ↓

【鋼鉄の(クロー)】×1


――――――――――――――――――――――――――――――


【所持品】

十徳ナイフ×2

【鋼鉄の(クロー)】×1


「十徳ナイフに、セロトニン等の発痛物質や、ヒルジン等の溶血性物質を塗れば、通称【キラービーナイフ】になる。【鋼鉄の(クロー)】に発痛物質や、溶血性物質を塗るか、或いは、【キラービーナイフ】を3本束ねれば、毒の爪にも出来るぞ。」


 そういえば、【キラービーナイフ】は、ノワール般若が、毒塗った状態で、投げナイフにしていたな。試薬は、常井氏が自分の懐から出したものを使う、とのことなので、折角だから、一本だけ作成しておくことにしよう。


――――――――――――――――――――――――――――――


【武器合成】


十徳ナイフ×1

+発痛物質

+溶血性物質

   ↓

【キラービーナイフ】×1


――――――――――――――――――――――――――――――


【所持品】

十徳ナイフ×1

【鋼鉄の(クロー)】×1

【キラービーナイフ】×1


 次に、常井氏は橙色の鉄パイプのようなものを持ってきた。


「ヒヒイロカネ製の鉄パイプだ。本来は、ヒヒイロカネは魔力を帯びた銅だが、これは実際、ヒヒイロカネと鉄の合金だから、鉄パイプと呼んでも構わないだろう。これと、以前に差し上げた黒曜石のナイフを組み合わせれば、先端が黒曜石で、柄がヒヒイロカネの槍が出来る。先端部分は、ボールペンの芯のように付け替え方式だ。」


 これもノワール般若が使っていたものと同じ槍だと思うと、気が進まないなぁ。


「フム。それでは、もう一つ黒曜石のナイフを進呈しよう。それらを両端に付けるというのは、どうかね?」


 折角素材を提供してくれるのだから、ここは作成しておくことにしよう。


――――――――――――――――――――――――――――――


【武器合成】


ヒヒイロカネ製の鉄パイプ×1

+黒曜石のナイフ×2

   ↓

【葬送の双槍】×1


――――――――――――――――――――――――――――――


「出来上がったようだな。これは【葬送の双槍】と呼ばれる魔槍だ。こうして、【都市探索】をして素材を蒐集し、【武器合成】で、武器を作成し、【荷車】で売る、という流れで稼ぐことも出来る。」


「【荷車】?」


「昔は、荷車に武器を載せて売り歩いていたから、その頃の名残だろうな。」


 蒐集依頼や、討伐依頼をこなす以外にも、このような金策手段もあることは心に留めておくことにしよう。

帰宅経路をモノレールに変更(2022/06/17)。

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