表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
別次元の領域(2021年版)  作者: 草茅危言
第壱章 都市探索編
18/120

第18話 【垂直尾翼】の政治結社【草茅危言】

2021/08/30(月)地名について、少し追記。

 【(ぬえ)】は、型紙に封印され、郡山青年の式神となった。その経緯を依頼主に報告し、討伐完了、ということになった。報酬は、小隊(パーティ)を組んでいる場合、山分けが基本であるが……。


「今回は、君の総取りで構わないよ。私は何もしていないし、資金面でも特に不足はないが、この国の都市探索を始めたばかりの君には、これから資金が必要だろう。」


「分かりました。では遠慮無く頂いておきます。」


 現在の残高は、金貨14枚、銀貨9枚、銅貨10枚。


「それで、今日のこれからの予定は?」


「今日はもう遅い時間だから、【登戸研究所】の見学は明日、ということになるだろう。宿は……私にいい考えがある。」


 『読書喫茶』に泊まるとか言い出しそうではあるが……。


――――――――――――――――――――――――――――――


 銅貨5枚を支払い、『川崎市営地下鉄』に乗る。


 『川崎市営地下鉄』は、二方面に分岐しており、『新川崎』から『武蔵小杉』と『元住吉』の中間にある、【工業都市】駅を通り、【等々力緑地】駅から分岐した、【玖番道路】沿いに、【溝口】駅、【稲田登戸】駅、【生田浄水場】駅、【大丸】駅、【多摩一宮】駅を経由して、『日野』方面へ向かう路線と、【野川】駅、【馬絹】駅、【犬蔵】駅、【蔵敷】駅、【長沢】駅、【新百合ヶ丘】駅を経由して、『相模原』、『上溝』まで直通する路線とが、相互乗り入れしている。


 これから乗るのは、前者の方である。


 【稲田登戸】駅で、『川崎市営地下鉄』を降り、モノレールの高架沿いに、【宿河原不動】駅まで歩く。近くに植物園があるこの駅は、表の世界では既に廃止された駅である。


 そう、現実世界の日本では、近くに『東名高速道路』があるが、この世界では、モノレールになっているようだ。

 そして、『多摩川』、いや、この世界では【多魔川】か。その河原の近くにある宿場町という感じである。川の氾濫を防ぐために、用水路が流れているのは表裏共通か。


 但し、現実世界の『東名高速道路』の径路からは、少しずれており、下り方面は、【宿河原不動】駅、南武線の登戸連絡線という廃線と同様の径路から、【稲田登戸】駅―現実世界の『向ヶ丘遊園』に相当する―を経由して、【登戸研究所】駅へ至り、再び、『東名高速道路』の径路へと復帰して、【犬蔵】駅で『川崎市営地下鉄』と乗り換えられる。

 今後、【荏田】―相武電気鉄道の計画にあった―から、『十日市場』、『つきみ野』方面へと延伸される予定だという。

 一方、上り方面は、【大蔵】駅―これも相武電気鉄道の計画にあった―を経て、やはり現実世界の『東名高速道路』の径路からは、少しずれるが、【瀬田】駅で【第捌號地下鉄(アハトライナー)】と、【上馬】駅で【第漆號地下鉄(メトロズィーベン)】と、乗り換えることができる。こちらも、さらに延伸の予定があるそうだ。


――――――――――――――――――――――――――――――


 住所:橘樹群稲毛領稲田町宿河原不動。


 少し歩くと、何だか見覚えがあるような場所に到着する。午前中と夕方という違いはあるが、一昨日、異世界初日にここから旅立った……所謂(いわゆる)基地(アジト)ではないか。見覚えのある、黒い頭巾(フード)付きの外套(コート)を着た老人がいる。


「おお、蝙蝠山卿に第参皇児(だいさんおうじ)ではないか。」


「お久しぶりです。(マイスター)・ブルクドルフ。」


 常井氏は、大皇(おおきみ)に【陰陽術】を、ブルクドルフ氏に【魔導科学】を教わったという。


「ただいま、で合ってるかな。そういえば、一昨日は結局名乗っていませんでしたね。」


 この老人こそが郡山青年をこの世界に連れてきた張本人で、一昨日は【クネヒト・ループレヒト】と名乗った。また、【老魔法王】という渾名(あだな)もある。


「そうだったかな。いや、失念しておった。とはいえ、既に棄てた過去の名だ。あまり意味は無い。」


 ブルクドルフ氏もまた、大皇(おおきみ)の【転移の鳥居】に巻き込まれる形で、約百二十年前にこの世界にやって来た。


「一昨日は、【転移の鳥居】で転送されたから、この場所も分からないし、戻って来るとは思わなかったな。転送先の神社で巨大蜘蛛に襲われたし。」


「それは災難だったな。」


 その後の経緯を話すと、老人は静かに傾聴していた。


「今日は、ここに泊まっていくといい。」


 現在、午後6時過ぎ。異世界三日目にして、(ようや)く、基地(アジト)への帰還を果たすことが出来たのであった。


――――――――――――――――――――――――――――――


 夕食後の基地(アジト)にて。


(そもそ)も、『基地(アジト)』と呼んでいるけど、ここは、何の基地(アジト)なのでしょうか。」


「何の基地(アジト)なのか説明されていないのですかな?」


 常井氏に尋ねられたブルクドルフ氏が説明する。


「いや、失念していた。ここは、政治結社【草茅危言】の基地(アジト)なのだ。」


「政治結社【草茅危言】?」


「この国は三頭政治というのは以前説明したが、一応、政党のようなものがあるのだ。政治結社【草茅危言】は、右翼でも左翼でもない、敢えて言うなら、【垂直尾翼】の政党だ。そして、行政に携わる者は政治士の資格が必要だとも説明したが、政治士の資格を取得するには、難関の資格試験を突破する必要がある。その志のある者を支援する体制というか……いわば勉強会だな。」


 つまり、【垂直尾翼】の政治結社【草茅危言】の基地(アジト)へ帰還したわけか……。


「他にも、【魔導師】の資格を取得するために、【魔導科学】の勉強会を開いたりもするが、最近は、【登戸研究所】の付属学校の方でも、【魔導科学】の勉強会を開くようになったから、そちらの方が設備面では充実しているようだ。そうだろう?【登戸研究所】所長殿?」


 【魔導師】は、【魔術士】を育てる職業で、教員免許のようなものだという。


「そうですな。確かに、最近は蔵書を寄贈してくれる方も多いので、【登戸研究所】の付属図書館の蔵書は充実してきていますぞ。」


「そういえば、私の弟子(アプレンティス)は、本の虫だったな。まさかとは思うが、寝食を忘れて没頭していたりするのではあるまいな?」


 どうやら、図星のようだ。(マイスター)には、お見通しというわけか。翌日は、【登戸研究所】の見学をする予定なので、明日に備えて早めに就寝することにし、異世界三日目を終えることにしよう。

・旧29話 基地アジトへの帰還

・旧30話 政治結社【草茅危言】の前半部分

を再編し、改めて、

第18話 【垂直尾翼】の政治結社【草茅危言】

としてまとめたもの。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ