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別次元の領域(2021年版)  作者: 草茅危言
第壱章 都市探索編
15/120

第15話 【第漆號地下鉄(メトロズィーベン)】と【第捌號地下鉄(アハトライナー)】

段落先頭の字下げに伴い、本文改訂時、廃駅、

未成線等の説明を大幅に加筆(2022/06/09)。

 異世界三日目。常井氏とは、午前9時に待ち合わせ。今日は本を読みながらの登場ではないけど、まさか、昨日徹夜で読み終えたとかいうことはないだろうね……。


 【荏原三角商店街】を出て、【壱番道路】をさらに南下すると、この世界版の「環状七号線」、通称【漆番道路】に交差する。その地下には、【第漆號地下鉄(メトロズィーベン)】が走っている。

 同様に、この世界版の「環状八号線」、通称【捌番道路】の地下には、【第捌號地下鉄(アハトライナー)】が走っている。

 表世界では、「メトロセブン」と「エイトライナー」という架空鉄道があるのだが、この【第漆號地下鉄(メトロズィーベン)】と【第捌號地下鉄(アハトライナー)】は、その数字を英語読みから独逸(ドイツ)語読みに変えただけである。

 【第漆號地下鉄(メトロズィーベン)】が「メトロセブン」と異なるのは、【漆番道路】沿いの設置駅が、「環状七号線」沿いの東側部分ではなく、(むし)ろ、かつての「東京山手急行電鉄」の西側部分に近い点が挙げられるだろう。


 銅貨5枚を支払い、【第漆號地下鉄(メトロズィーベン)】に乗車する。乗車した駅の場所は、現実世界における馬込の辺りだが、この世界での駅名は、現実世界には既に存在しない、【蛇窪】という旧地名―同名の旧信号場だった廃駅もあるが―を冠する駅であった。この世界では、【蛇窪遺跡】の最寄駅という扱いの駅だそうだ。


「命名者は、我が(マイスター)・ブルクドルフ氏だ。」


「師弟だったんですねぇ……。そういえば雰囲気が似ている気がする。」


「無意識に模範にしているからだろうな。そういえば、君には物凄く才能があるように感じる。どうだ?私の弟子(アプレンティス)にならないか?」


「申し出は有り難いのですが、学費というか、授業料の問題が発生しますよね?」


 実際、いつ表の世界に戻れるのか分からない。金策の手段を考える必要がある。


「【都市探索協会】という、公共職業安定所のような、或いは、ゲームにおける冒険者協会(ギルド)のようなものがある。金策なら依頼(クエスト)を受注すれば良い。私も頻繁に依頼を出しているのだが、直接依頼した方が、仲介料が浮くか……よし、私の弟子兼部下になれ。(ちな)みに、この世界では、弟子兼部下のことを【使徒】とも呼ぶ。『使』の部分が、『お使い』の意味で、『部下』のことを指し、『徒』の部分が、『生徒』の意味で、『弟子』のことを指す。弟子であれば、確かに授業料の問題が発生するが、部下には賃金を支払わなければならないから、相殺される。(むし)ろ、賃金の方が学費を上回るだろう。これならどうだ?」


「業務内容にもよりますけどね。」


「私は君の世界でいえば、文部卿、兼、【登戸研究所】所長、兼、付属学校【暗黒学問塾(シャドウ・アカデミー)】の学長等をしているが、教壇に立つこともあるから、君はその補助をしてくれればいい。」


 大学には、ティーチングアシスタント―「TA」と略す―とか、フェローと呼ばれる大学院生がいるが、その(たぐい)だろうか?

 こうして、郡山青年は、半強制的に常井学長の【使徒】とかいう名称の、弟子兼部下という扱いになってしまった。


――――――――――――――――――――――――――――――


 【第漆號地下鉄(メトロズィーベン)】下り方面:


【大森】→【蛇窪】→【長原】→【上馬】→【若林】→【代田(だいた)】→【方南町】→【高円寺】→【野方】


――――――――――――――――――――――――――――――


 暫く【第漆號地下鉄(メトロズィーベン)】に乗っていたのだが、突然、地面が揺れ出し、電車が止まってしまう。


 電車が止まってしまった場所は、元々、降車予定だった、表世界における『方南町』辺りではなく、その手前の『代田(だいた)』付近である。


 地名は珍しいことに、この世界でも表世界と同じく、【代田(だいた)】というそうだ。当然、停車駅も【代田(だいた)】駅である。(ちな)みに、こちらの駅名は、東京山手急行電鉄ではなく、相武電気鉄道のかつての計画の方に書かれていた駅名と同じだ。

 しかし、この突然の停車の原因は、その地名の由来となる存在に起因していた。まもなく車内放送でそのことが知れ渡る。


「【代田(だいた)ラボッチ】が出たぞ~」


 ダイダラボッチではないのか?!

実際、『代田だいた』という地名は、ダイダラボッチの足跡に由来すると言われているらしい……。

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