だって僕は
朝起きてから、夜寝るまで。
1日の中で、僕はたくさんツンツンする。
朝起きたら、おはよう。ツンツン。
ごはんちょうだい。ツンツン。
お水もほしいな。ツンツン。
たくさん食べた。お腹いっぱい。
もう少し寝ようかな。ゴロン。
なに? ツンツンしないでよ。
遊んでほしいの?
やめてよ。そんなにツンツンしないで。
あぁ、もう。しつこいなぁ。
僕の気持ちがツンツン。
謝っても、許してあげないよ。
もうひと眠りして、また起きた。
気持ちはすっきり。気分がいい。
よし、遊んであげるよ。ツンツン。
あれ? 遊ばないの? ツンツン。
ねぇねぇ、遊ぼうよ。ツンツン。
ツンツンじゃだめ? じゃあ、よーし。
思いっきり、ごろーんと寝転がってやる!
仕方ないなぁ、なんて言ってさ。
本当は嬉しいんでしょ?
僕と遊べるのが、楽しいんでしょ?
ほらほら、おもちゃを持ってきてよ。
たくさん遊んであげるからさ。
たくさんおもちゃで遊んで、ひと休み。
お水を飲んで、ゴロンと伸びて。
なんだかまた、眠くなってきた。
ふわぁ、とあくびをひとつ。
なぁに? ツンツンしないでよ。
僕、疲れて眠たいんだよ。
お昼ごはん? 今はいらない。
ツンツンしないで。僕は眠るんだから。
ねぇ、ツンツンしないでってば。
僕の気持ちがまたツンツン。
違うお部屋で眠ることにした。
今度は起きると、誰もいない。
お出かけしたのかな?
それじゃあ、今のうち。
気になるものを、ツンツン。ツンツン。
テーブルの上で、ツンツン。ガシャン。
棚の上で、ツンツン。ゴトン。
垂れ下がってるものに、ツンツン。ずるん。
落ちてるものにも、ツンツン。コロコロ。
あぁ、まずい。怒られるかな?
楽しくて、止まらなかった。
怒られるかも。嫌だなぁ。
僕はそう思って、また眠ることにした。
知らんぷり。知らんぷり。
ツンツン。ツンツン。
ただいまと言われて、ツンツン。
おかえり〜とお返事しても、ツンツン。
いたずらしたでしょ? と、ツンツン。
悪い子だなぁ。と、そっぽを向かれた。
ねぇ、ごめんね。と僕はツンツンする。
後ろからツンツン。横からツンツン。
前にまわってツンツン。ねぇ、機嫌直して?
君がツンツン気分なのは、嫌なんだけど。
もう、と言って僕は抱き上げられる。
仕方ないなぁ、なんて笑顔になって。
そのままぎゅっと胸に抱え込まれた僕は。
うねうね柔らかい体で、逃げ出した。
ぎゅっとされるのは、好きじゃないからね。
ツンツンしてきたり、ツンツンふてたり。
どっちが本当なの? なんて、聞かないでよ。
どっちも本当の、僕なんだから。
だって、僕は、猫なんだから。