終わりの始まり
第一章
終わりの始まり
〇月×日、まだその時は俺が中学のときだった。
俺の父親が刑務所に入った。
数か月前に父親が会社をリストラさせられた。そのことを根に持った父が会社の上司をナイフで刺したらしい。その上司は救急車に運ばれた後、病院に着いた時には息を引き取ったらしい。そのあと、父親は特に抵抗とかもせずに警察に連れてかれて行った。勿論、その事件は報道された。
そのあと、俺の親の顔を知る友達から電話が来た。
「今テレビ見てるんだけど、会社をリストラされた男がその会社の上司に恨みを持ったらしくナイフで刺したってニュース知ってるか?」
そのしゃべり方は特にいつもと変わらなかった。
「あー,,,知ってるよ」
俺は、いつものように返した
「今時、そんなことあるんだな,,,怖いなー」
何かを言いたげだった。そこで俺は賭けることにした。
「てか、いつもならそんなことで電話とかしてこないのに急にどうしたんだよ」
少し無言の時間が続いた。1分経つくらいに相手の口が動き出した。
「あのさ、間違いだとは思うんだけど,,,」
なかなか言い出せないのかまた黙り込んだ。それが段々とイラつき怒り口調で言い返した。
「言わないなら電話切るぞ」
やっと言うことを決心したかのような口調で話し始めた。
「あのな、そのニュースを見てたんだけどその犯人がお前の親父の顔に似てる気がするんだけど気のせいだよな」
その時、なかなか言わなかったことをまだイライラしていたのに加え父親のことも言われさらにイラつきがピークに達して何も考えずに思ったことを口に出していた。
「あのくそ親父のことは俺の前では話さないでほしい。リストラされたくらいで上司殺すとかどんだけ心小さいんだよ。酒飲んだらすぐに手を出すし、金はパチンコで使ってくるし、それで負けたらまた暴力。あんなクズ時刻に落ちればいいのに」
その友達は最後まで聞いて何も言わずに電話を切った。次の日から地獄の日々が始まる。
親父が家からいなくなってから一週間くらい母親は親父のことばかりを考えていた。あんなに暴力を受け暴言を吐かれても親父のことがまだ好きってことが俺には考えられなかった。俺のことは気にもせずにいつも飯はコンビニ弁で家事は自分で全部やった。
でも、ある日の夜にお風呂から出てリビングのソファーでゴロゴロしていると母親が何かに気づいたらしく俺に珍しく話しかけてきた。
「あんたその左足何?」
俺は何のことを言ってるのかわからなかった。とりあえず言われたとおり左足を見てみた。そしたら、親父が人を殺して犯罪者になったのが学校の生徒大半にバレその日からイジメに合うようになった。その時に殴られ蹴られの跡のアザだった。
「なんだよ今更。親父が人殺しになったのが学校のみんなにバレてイジメられてるだけだから気にしなくていいよ」
いじめという言葉を聞いた瞬間、母親の顔が変わった。びっくりで仰天でもない。ショックとびっくりが同時に来た感じのまさに、ショッくりって感じだった。その途端、母親の頬に涙が流れてるのがわかった。
「ごめんね…」
泣きながら母親が言ってきた。今更遅い感じがした。でも、母親の心の中が父親ではなく自分になった気がして少しホッとした。それから数週間後。イジメが問題になりイジメは少なくなったが全くなくなったってわけでは無い。その時はイジメなんか気にせず高校に行くために猛勉強した。
それから数ヶ月後。無事(?)に中学を卒業した。母親とものすごく話し合った結果すごい島に引っ越すことにした。周りは海に囲まれてとても自然がきれいなところだった。その島に唯一小・中・高があった。もちろん、高校はなかなかの低い偏差値で勉強しなくても行けたんじゃないかって思うくらいだった。でも、人数が少なく知ってる人も誰一人としていない平穏な暮らしが待ってる気がした。
引っ越しの作業で入学式は間に合わなかった。次の日からが最初で最後の高校生活が始まると急に緊張してきた。2日目にして教室に入るともういくつかのグループが出来ていたと言っても2〜3人のグループが5つくらいしかなかった。あと数人は個人で作業をしている感じだった。その中の誰に話をかけるかがとても重要だ。変な感じを単に並べた意味のない言葉を言うやつだったり自分に力があると信じているよく言えばピュアな人はなるべくだが避けたい。何も考えず直感と気分である人に話しかけてみた。
「お、おはよう。入学式はいなかったんだけどよろしく」
最初の言葉をミスったことを言い終わったあとに気が付いた。
「お、おは、おはよう。あの、私、あの、よろしく…」
そこにはザ・清楚系の女子が立っていた。俺は彼女の顔を見た瞬間声をかける人を間違えるかと思うくらいに美人だった。まぁ、そもそもがなんで女子に声をかけたのかってところだけど、そこは深く追求しないでほしい。別に女子に最初に話しかけて女子の気を引こうとかではない。絶対にない。
「あ、あの、この島出身なの?」
なんとか話を続けようと必死な俺を興味津々な目で見てくる。
「そうですよ。この島出身のこの島育ちです。」
彼女は話しかけられたのかとても嬉しそうに笑顔で話しくる。まさにその顔は天使の域を超えていた。その笑顔を見て俺は彼女に一目惚れをした。
「お名前は何て言うんですか?」
「休みの日は何をしてるんですか?」
「趣味とかありますか?」
少しでも彼女の情報を手に入れるために質問をしまくった。嫌と言うほど質問した。でも、彼女は顔を何一つ変えずに質問を答えてくれた。話をしていくうちに段々と距離が縮まって自然とお互いに敬語も無くなってきた。彼女の名前は神百 真美というらしい。
「神百さんよろしく!」
そう言うと彼女はキョトンとした顔をして首を傾げた。
「"神百さん"ってなんか堅苦しい。やだ!まみでいいよ。その方が落ち着くし気が楽。苗字でさらにさん付けって壁があるみたいで嫌なんだよね。」
そう言って彼女は微笑んだと同時にチャイムがなった。そこからは彼女と話をしなかった。
いつもそうだった。小学生の時は女子とは特に話をしなくて男子同士でいた。中学生の時の前半は好きな子が出来ても話せなかったり、話してもなかなか続かなかった。今回もまたそんな結果になるんだろうと思うと少し悲しかった。
そして学校が終わりのチャイムが鳴った。中学の時みたいに一人で帰る日が続くと思っていると真美が話しかけてきてくれた。
「一緒に帰らない?一緒に帰る人がいなくてさー。一人で帰るのは寂しいから一緒に帰ってほしいなー」
ついに来た!このチャンス逃す訳には行かない。
「別にいいけど方向が一緒じゃないとすぐに別れることになるぞ?」
すると、少し悩んで閃いたらしく話を続けた。
「じゃあさ、寄り道して話でもしない?で、その後解散ってことでいい?」
特に予定もなく暇だったのでその案に乗る事にした。学校から少し歩いたところにある喫茶店に入ることにした。そこで30分くらい話し合った。特に内容のない話だったがすごく楽しかった。
「外も暗くなってきたし、もうそろそろ帰るか。」
「そうだね。帰ろ」
席を立った瞬間眠気が急に襲ってきて俺はそこで意識がなくなった。




