思春期野郎達の閉幕会
―――やっぱり、こっちの選択肢を選ぶのか。
そんなことを思いながら、いつもと同じ景色を眺めていた。
今からそこへ、向かおうとしているのに。
確信があった。だからこそ行かなければいけなかった。
ゆっくりと階段を上り、目の前の扉を開けると、いつもの光景が視界に広がった。
そこに佇む見覚えのある姿を除けば。
俺と違う体つき、姿、なのに俺と同じ生命力を纏った、化け物。会ったことなど1度もないのに見覚えがあった。
「どうしてここに来たんだ?」
そう聞いてくる声にも覚えがあった。と言うより、俺が毎日耳に入れる声と全く同じ声だった。
「聞かなくても分かるだろ。お前を消すためだ」
そう言いながら、自分の生命力を手に集中させ、大きな鎌を体現し、そいつに向けた。
胸の痛みに耐えながら。
「いいんですか?僕を消すということは、貴方も消えるということですよ?」
―――知ってるくせによく言うよな。
「そもそも、こうして会っている時点でゲームオーバーなんだよ」
「そうですね。だからこそ、こっちの選択肢を選んでほしくなかった」
徐々に強まる痛みに耐えながら、鎌を振りかざす。
「じゃあな―――」
――――じゃあな。俺。
瞬間、今までの俺の物語が、フラッシュバックのように頭に流れ込んできた。