095.やってきた恵理(五)
恵理のような機械を衣装のように着るものを「機ぐるみ」と呼ばれていたが、着用者とは細胞レベルで結合するので自分では脱げなくなっていた。だから一種の改造人間みたいなものであった。
「わかったよ、一緒にいけばいいんだろ。ちょっと聞くけど」
「なあに?」
「僕も同じように改造されるのかい?」
翔太は話の流れから恵理と同じような姿になるんじゃないかと思った。以前見たネオニムロッドには男性型もあったから・
「そ、それ? 心配しなくても良いわよ。取りあえずモニタニング要員だそうだからね、あなたは! まあ、中身は改造されているけどね」
その声は愛想笑いをしているような気がしたけど、恵理のフェイスガードは唇の形があって眼窩の部分はバイザーのようになっているので表情など見えなかった。彼女のように外観がロボットにしかみえないタイプに共通した特徴であったが。
そうしていると、翔太の自宅前に黒いワゴンが止まっていた。それで恵理はやってきたようであった。それにしても本部なんてどこにあるのだろうかと翔太は考えてしまったが、見当がつかなかった。
「あれに、乗るのか?」
「決まっているじゃないのよ、さあ!」
外骨格に覆われた恵理は翔太を押し込むようにワゴンへ案内した。そしてワゴンは何処かへと出発した。




