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094.やってきた恵理(四)
翔太の呼びかけに恵理は少し首を傾けた。その表情は分からないが何かを考えているかのようだった。
「決まっているじゃないのよ、鈴木君を迎えに来たのよ! これから一緒にきてよ!」
そういうと恵理は翔太の手を取った。彼女の手は温もりはあるが固い手袋のようになっていた。
「一緒にってどこだ?」
「きまっているじゃない、本部よ! 綾先生もいるから!」
そういって恵理は翔太を引っ張り始めた。その力は並みの男以上のものがあった。彼女の基礎的な能力は強化されているようだった。
「わ、わかったよ! 手を引っ張らないでくれ! ついていけばいいんだろ!」
翔太は少し不機嫌そうな感情を表に出した。すると恵理は何故か翔太に抱きついた! 女の子に抱きつかれたのは初めてだったが、それがよりによって幼馴染で、しかもロボットの姿になっているのだから、感想を聞かれたら困ってしまう状況だった。
「ごめんね、少し強引だったわね。ごめんなさいね」
どうも抱きついたのは謝罪のためのようだった。でも今の彼女に色っぽさは感じなかった。身体は硬いし甘い匂いもしなかった。今は動く機械人形のようにしか感じられなかった。




