093.やってきた恵理(三)
自分が改造されている? 翔太はそう言われたが心当たりがなかった。改造されているのなら恵理のように外見が一変するようになっているのではないかと思ったからだ。すると恵理が説明してくれた。
「この前、日曜日の朝起きた時間って覚えているかした?」
「あの日は・・・あれ、昼前まで寝ていたなあ。なのに親父も母さんも・・・怒らなかったなあ、いつもならガミガミなのに?」
「その時ねえ、インターフェイスの埋め込みが行われていたからなのよ。あなたの頭の中には組織のネットワークに接続する補助電脳があるのよ。ただねえ、性能が制限されているから、あなたはこうやってテレパシーのようにコミュニケーションをする事しかできないわ。
そのかわり、組織はあなたが見ている事、感じていることを知ることが出来るからね。あんまりおかしい事はしない方が良いわよ。全ての情報は筒抜けだからね」
翔太の行動は全て組織が把握しているという事らしかった。そういうことは・・・やっぱり両親も組織の一員だと認識するしかなかった。それにしても息子の頭の中に機械を入れ込むなんて、なんてそんなことをしたのかと、腹立ちたかった。
「そうなんだあ。基本的な質問かもしれないけど、なんでここに来たんだ。金城恵理さん!」
翔太はそういって恵理の顔に接近した。彼女の顔はロボットそのものだった。




