092.やってきた恵理(二)
それは今日学校で見た恵理だと主張するロボットのようだった。人間の恵理よりも身長が十センチほど高く胴回りも幾ばくか太くなっていた。そうなったのも彼女がネオニムロッドと呼ばれる新型の機ぐるみを装着されただとすれば納得できた。そんなことを思っていると次のメッセージがやってきた。
”鈴木翔太君! 君は呼ばれているのよ! 家から出てきなさい!”
そのメッセージは綾先生のような気がした。それで表に恐る恐る出てみた。玄関先にいる女子生徒の制服を纏ったロボットの機体は月明りに照らされメタリックな光沢を放っていた。それは美しいと感動していた。するとロボットが翔太に近づいて来た。
「あなたねえ、あたいは恵理よ! そんなに怖がらないでもいいじゃないのよ! ロボットのような姿にされても中身はフツーの女の子なんだからね」
そう耳に聞こえてきた。でも疑問が起きた。なぜ翔太は自分が恵理や研究員七号ことクレアと同じようにインターフェイスによるコミュニケーションが出来るのだろうかと。すると、恵理はこんな事を言い出した。
「そうそう、あなたも改造されているのよ! 人間社会にロボットが入り込んだときにどのような現象が起きるのかをモニタニングするためにね」
そういって恵理は翔太の頭を撫でてきた。その手は硬いグローブのような感触だったが、仄かに温もりを感じた。




