086.誕生(一)
恵理は一瞬パニック状態に陥った。いま自分は人間なのか、それとも機械なのかと。そして気を失ってしまった。次に目を覚ました時、といってもそれほど時間は経っていなかったと思うけど、激変していた。
ほんの少し前、何時間前なのかわからないが、普通の少女だっや恵理は、今では機ぐるみに覆われロボット娘に変えられていた。人間の姿を捨て誰が見てもロボットのようにしか見えない姿にされてしまった。私は機械子宮の中で姿を変えられていたロボット娘に!
「恵理さん、いまチェックしているからね。あなたの身体と機ぐるみの融合が上手くいっているのかチェックしている最中よ。あなたには眠ってもらうわよ」
そういわれると恵理の意識は薄れて行ってしまった、まるでパソコンが強制終了されるように眠くなっていっていた。そのとき、こんなことを思ってしまった。これは夢なんだ、きっと悪い夢なんだ、眠りに落ちて次に目が覚めたらいつものように自分の布団で目が覚めて、変り映えなんかしない日常が繰り替えされるはずだと・・・
しかしそれは無かった。眠りに落ちても悪夢の続きであった。インターフェイスは機ぐるみに覆われた人間の場合、脳で起きている電気信号、つまりは意識を読み取ることができるという。しかも、外部から任意の夢を見させることが出来るという!
だから、恵理は夢の中でもロボット娘の意識にされていた。要は意識までも融合させられたことを意味していた、ロボ娘に! だから次の朝目が覚めた時は私は人間の女の子の理恵ではなくロボ娘の理恵の意識に変わっているはずだ。




