085.恵理改造!(十)
人工筋肉の最低限の能力として生身と外骨格の体重を支えるものであるが、最大は一人で装甲車を持ち上げられるぐらいの能力が発揮されるはずだった。そのため汎用性がたかかった。
一方で人工筋肉はデリケートで長時間外部にさらされていると化学組成が変化して作動しなくなるうえ、場合によっては制御不能の暴走を引き起こす危険があるので、それらを防止するために外骨格で覆う必要があった。ちなみに外骨格には人工発声装置のほか、各種センサーが搭載されているので、センサー類の増設によって様々に使えた。民生用にも軍事用にも。
恵理の人工筋肉に覆われた身体の上にさらに外骨格がはめられようとしていた。外骨格で早く覆ってほしかった。そうしなければ機械子宮から出れないからだ。それにロボ娘として自立したかった。
ロボ娘のギミックを簡単に言えばこうだ。体内への酸素の供給は外気を吸入して液体呼吸器官で行われ、排泄はある程度溜まってからまとめて排出されるが、食事を摂らないので排泄といえば身体の老廃物だけなので量はそれほどでもないわけだ。ちなみにナノマシーンによって改造されているので、膀胱内の尿は一定程度に保たれ、多くなればお尻にあるカプセルに貯められるように尿管に挿入されたカテーテルによって移送されていた。
「これから外骨格をはめていくわね。ちょっと我慢してね!」
その言葉と同時に恵理の身体に外骨格がはめられていった。身体は覆われた部分からメタリックな外観を持ったロボットへと変化していった。そして外骨格をはめられて行くたびに視線に膨大な文字列が恐ろしい勢いで流れて行って、同時に変な感覚に襲われた。外骨格を自分の身体の一部と認識するようになった。そして、恵理はロボット娘、ロボっ娘へと変化してしまった!




