074.機械子宮(七)
研究員七号は最終的な恵理の改造プランを確認していた。機械子宮の中で恵理の体内に生命維持に必要な器具と人工筋肉と外骨格と神経接続するためのインターフェイス、そして鼻腔から挿入されたインターフェイスを外骨格全体に配置された補助電脳とネットワークを構築するための措置だ。元の恵理の身体は形として残っているが、元の姿にいつ戻るかは未定であった。
「ほお、この娘って汎用型なんだ。こんなに欲張らないでもいいのにね、成功しなくちゃいけないわね。失敗したら・・・」
その時、研究員七号は今回の前量産型の前に起きた試作型外骨格の試験失敗を色々と思い出していた。機械子宮の中で精神が錯乱して中止になった被験者や、装着過程で失敗した被験者などを。この機械子宮では今まで何十人という被験者が犠牲になっていた。犠牲といっても生命まで失ったものはいないが、人間として後戻りできないのが少なからずいた。
「あーあ! 私も改造するときはもう少し慎重にしてくれたら良かったのにね! おかげで完全に脱げないじゃないのよ! 私の外骨格って! でも、満足だけど今の境遇はね」
そう、研究員七号は半年前の機械子宮による装着失敗によって、体内の挿入された器具が完全に肉体と融合して、サイボーグといってもいいぐらいな状態になった。命と引き換えに、人間としての記憶と元の肉体への復帰が出来ない身体になっていた。彼女は身も心も機械生命体に生まれ変わってしまった。機械子宮というものは危険な装置であった。




