006.プレイ! 鋼夜叉(2)
VRゲームでバイザーを被り手に何かを持つというのは珍しくないけど、鋼夜叉は身体全体で体験できるように身体を覆ってしまうマシーンだ。だから疑似的な体験を全身でできるわけだ。具体的に言えばパワードスーツを実際に着用しているかのように。
恵理はプレイ開始した時、目の前に狙撃しようとしている敵キャラが見えた。そいつ目がけて走り出して手に持っている銃で撃つとともに手前の塹壕に飛び込んだ。すると身体全体に衝撃を受けた、胸を覆うボディカバーが食い込んできたのだ。それには驚いてしまった。
プレイしていくに従い、目の前に広がる仮想現実の光景よりも気になった事があった。身体を拘束する器具だ。本当に身体が機械の中に入っている感じがするのだ。頭や胸、特に腰がものすごく圧迫されるのだ。これって、本当にパワードスーツを着ているって体感なのか? そんな気がしてきたのだ。
ゲームの中での恵理の分身であるXB008は物凄く動きが良く、次々と敵キャラを撃破しポイントをアップしていた。特に身体同士の格闘は目を見張るものがあったが、取っ組み合いをして態勢が上に下になっている時は、現実の恵理も鋼夜叉のゲーム機の中で身体がクルクル回っていた。鋼夜叉は現実でもその場でプレイヤーの体位がグルグル回していた。ほぼ三百六十度展開させていた。