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055.工作員

 綾先生の後ろに黒い影が現れたかと思うと、その黒い影は物凄い勢いで恵理の両腕を掴んでいた。それらが人間の姿をしていなかった。全身を黒く鈍く光る硬質なもので覆われ、顔面には大きな目玉のようなカメラレンズみたいなものがはまっていた。そしてよく見ると関節部分にヒビのような筋が入っていた!


 「先生! なんですか、これって? あたいをどうするんですか?」


 恵理は恐怖で顔が歪んでいたが、綾先生は全く意に介さないという姿勢だった。


 「その二人はガイノイドスーツを着込んだ女性工作員よ!あなたはね素材として生まれ変わってもらうわ! そのために私が担任になったのだからね。それに期待に応えてくれたから改造素材になるのよ、これから」


 綾先生はそれを言うと、狂気を帯びた微笑みを浮かべていた。


 「素材として生まれ変わる? まさか、その何をするんですか?」


 「決まっているんじゃないの。あなたの腕を掴んでいる工作員と同類になるのよ! 実は私も同じなのよ!」


 そういうと綾先生は足のパンストを降ろした。今は暑い盛りだというのに何故分厚いのを着ているのかおかしいと思ったけど・・・


 「!!!!」


 「そうよ! 私の下半身は機械化ボディなのよ! 航空機事故で下半身不随になったけど、改造することで歩くようになったわ! さあ、いらっしゃい」


 その声は獲物を仕留めて喜々としている狩人のような喜びの声のように聞こえていた。

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