050.逃げれない!
恵理が住む町の駅には図書館などが入った市民センターが隣接しているので大きな建物のように見えるが改札などがある駅舎は一階だけであった。そこで恵理は反対側の改札がある方へ向かった。しかしそれは無駄な努力でしかなかった。反対側にもロボットたちがいたから。
そのロボット達は実はネオニムロッドと呼ばれる量産型機ぐるみを着た者たちであった。いつの間にかこの町の人間は機械のような姿になるものが増えていたわけだ。もしかすると気付かれていないかもしれないという淡い期待で、恵理は悪い事だと思ったが、粗大ごみ捨て場に置かれた放置自転車に飛び乗って、隣の駅へと駆け出していった。
隣の駅。といってもここは地方都市。たっぷり3キロ以上も離れているので暗い夜道をまともにライトが付かない自転車で逃避行していた、しかしそんなことは無駄だった。途中で待ち受けていたからだ。
「金城恵理さんかね? 少し見させてもらったよ。やっぱり新型の素体に相応しい行動力だな」
その男は上品なスーツを着た紳士にも見えたが、その眼は野心が見え見えの猛獣のような目をしていた。
「あんな機械になんかに覆われたくないわよ! あたいは! どけ!」
恵理は強行突破を図ったが、次の瞬間身体は宙に浮いた。ロボット達に捕縛されてしまった!
「逃げられない! この町の人間で実験対象に選ばれたのはな! さあ、来い!」
恵理の両手両足はロボット達に掴まれたまま、道路わきに置かれたトレーナーのコンテナの中に押し込められてしまった。




