048.機ぐるみの温もり
「なんだが少し暖かいわね、ロボットって冷たいと思っていた」
恵理は母にそういいながら外骨格に覆われた身体を擦っていた、彼女の身体は肩を叩いたり揉んだりしてきたので、よくわかっているつもりだったが、その身体はこの中に閉じ込められているという事のようだ。
「暖かいわよ、だって体内で生じた熱を外骨格から放出しているんだからね。そうそう、この温度管理システムがあるおかげで外気がマイナス40度から50度になっても、全然問題ないのよ」
「それって結構強力なんだね」
恵理は母の外骨格をマジマジと見ていた。その時の外骨格のボディーカラーはグレーでアクセントとして白い線が二本入っていた。そして胸にはなんかのロゴみたいなものが入っていた。また顔はサングラスのようなキャノピーが入っているだけのシンプルなものだった。ちなみにボディラインはお腹が少し出ている体形ではなくなっていた。
「そうよ! はやくお前もおなりなさいよ! そうそう、お前は最新型の被験者なんだからね。きっと気持ちいいよ! あたい憧れるわね」
そういって母は恵理の顔を擦った。その手触りは猫の舌のように少しザラザラしていた。それにしても承諾していないのに、機ぐるみを纏う事に! と恵理は思った。出来ればその場から逃げたかった。




