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047.機ぐるみを着たママ
あたいはよくわからない被験者に選ばれた事も動揺したが、もう一つおかしい事があった。なんで自分の母親がロボットになっているんだと!
「それはともかく、ママ! なんでロボットのようになっているのよ!」
しばらく前の事であるけど、うちの両親は市内のとある会社に就職した。その会社は日本でも有数の幕芝重工業の子会社で、新規事業の為に新たに雇用されたということだった。でも、今まで病気がちで満足に仕事が出来ない母が採用されたのが不思議だった。
「これかい? 会社の業務の一環よ! こうやって試用被験者になったのよ。お前も同じような事をするのよ」
「試用? 被験者? なによそれ?」
「決まっているじゃないのよ、着るのよ! 簡単にいえば機ぐるみよね、多分。ようは機械の中に身体を入れるって事よ。おかげで身体が楽でいいわよ。気持ちいいのよ!」
そういいながら母は私に近づいて来た。彼女の身体は全身がメタリックな輝きを放つ硬質な素材に置き換わっていた。今朝、学校に行くときは普通のウダツが上がらない中年の女だったはずなのに・・・
「気持ちいい? 暑くないのよそれ? 蒸れそうだし。これって衣装みたいなものを着ているのよね?」
あたいは母を覆う外骨格を触ると硬い感触と共に仄かな温もりも感じた。




