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046.鋼夜叉に憧れていたけど

 一週間前のことだった。あたいこと恵理は酷い目に会う事を予想もしていなかった。駅前でキャラメルママで気になっていた「鋼夜叉」をプレイして気分は良かった。この頃、父が転職したばかりで家庭内の生活リズムが変調し、ストレスを抱えていたので、少しはすっきり出来たと思ったからだ。


 それにしても綾先生はなぜゲームのプレイチケットをくれたのだろうか不思議に思っていた。そもそも高校教師が生徒にあげてもいいのだろうか? それにしても、あのゲームはまるで自分がロボットの中に入ったかのようにリアルな感じがして気持ち良かった。そう思っていた。


 翔太の家を出て家に向った。あたしの家は市営住宅で平屋の築半世紀の古い建物だった。建物自体がガタが来ていて何かと不便を強いられていた。そこに両親とあたしの三人暮らしだけど、姉はそんなボロ屋を卒業し東京で就職してしまったきり帰って来なくなっていた。その我が家に帰ったとたん、嫌な空気を感じた。


 部屋に入ると、パートに出ているはずの母がいた。いるだけならいいが、その姿が異様だった! その姿はさっきキャラメルママで見たガイノイドとよく似ていたからだ。


 「ママよね? いったいなにその恰好は?」


 あたいがママだと思ったのは直感であったが、その姿は機械人形そのものだった。


 「恵理、おかえり。さっき鋼夜叉でテストを受けてきたのね。よかったわよ、あなた合格よ!」


 「合格ってなによ?」


 「決まっているじゃないのよ、あんた鋼夜叉部門の被験者第一号に選ばれたのよ! よかったじゃないのよ、これからあなたは憧れの鋼夜叉になるのよ!」


 一体全体なんなのか意味が分からなかった。たしかに鋼夜叉に憧れていたけど、いったいどうなるっていうのよ、これからあたいは!

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