031.誰もいない家
自分の両親が経営している会社が怪しげなプロジェクトに関わっている!
そう思って僕は急いで家に帰った。だが誰もいなかった。工場の周りには厳重な壁が張り巡らされ、居住スペースの家に入ると置手紙があった。そこには急いで書いたらしい文字のメモがテーブルの上にあった。そこにこう書かれていた。
「なんだよ、契約の為に東京に行く? 今朝までそんなことは言っていなかったというのになぜなんだ?」
そう思って両親の携帯電話に電話しようとしたけど、なぜか着信拒否になっていた。これって異常事態じゃないかと心配したが、メモの下に一週間分の食糧費として結構な紙幣が置かれていた、それはギリギリの経営状態のはずなの会社と思えない金額だった。
「無駄使いするなって? これこそ無駄使いだろ! 何を考えていやがるんだ!」
僕は腹立たしく感じていたけど、こんな事態は何かの前触れだと思った。うちの家族であるが両親ともう一人姉がいるのだが、姉は専門学校に行くといって高校卒業後に上京して五年になるので、今は何をしているのかよくわからなかった。その姉にも電話したけど、つながらなかった。
取りあえず、その日は暇つぶしにテレビゲームをしたけどつまらなくなったので、自分の部屋に行ってボーとしていた。その時、大変な事が次の日に起きるとも知らずに。




