003.鋼夜叉(2)
この時恵理はほぼマシーンに取り込まれているかのような姿だった。ここにあるのは試作機なので実際に置かれる時には変わっていると思うけど隔てる板がなく丸見えなのでよくわかった。頭はヘッドギアに覆われ、手足は肘や膝から先はカバーに覆われ、腰はスカートが見えなくなるようメタリックなボディに覆われていた。唯一恵理だとわかるのは制服のブラウスだけだった。
そんな理恵を見守るギャラリーは数人であったが、一部の者が気になったものがガイノイドであった。そのガイノイドは鋼夜叉のプロモーション画像の中に出てくるプレイヤーとそっくりで、いま恵理が仮想現実の中の姿とはカラー違いの同型機のようだった。
「ねえ、あんたブリキおもちゃみたいだけど最新型かよ!」
そう言ったのはクラスでも口の悪い女子の里中美咲だ。男のように大柄な女で諸積が番長ならこっちはスケ番といった感じだった。まあ、クラスでも浮いている方なので相手にあまりされていないのを認識しているようであったけど。
「私はXB002改です。表面は耐傷自己修復機能樹脂とハイパー炭素繊維装甲の多重装甲に人工筋肉駆動の最新型です。動力源は機密です。ブリキではありません」
「ブリキでないというんかよ、あんたは? ロボットのくせに!」
美咲は少し機嫌悪そうに言った。