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016・怪しい課外授業
課外授業というものはかなり怪しかった。怪しいといえば綾先生も。綾先生が赴任してきたのは五月のゴールデンウイーク明けで、それまでの担任は突然別の職場に赴任したというのだ。その担任をしていた教師は可でも不可でもなくそれといって記憶に残ることはしていなかったが、なにか不祥事があって解任されたわけではないようだ。でも、詳しい事は「大人の事情」という壁に阻まれ説明してもらえなかった。
綾先生は容姿がそれなりで、三十代の教師だった。授業は分かりやすく生徒との話にも応じてくれるなど評判はよかった。ただゲーマーであること、そして私生活に謎が多いということがあった。学校に通勤してくる姿を誰も見たことないし、狭い町なのに休日に町で見かける事がないのである。他の教師なら割合見かけるというのにである。
そんな綾先生は一年生徒約五十人を前に紹介したのは白髪の六十ぐらいの男で、それなりに良いスーツを着ていた。
「みなさん、はじめまして私は幕芝重工業サイバネチック部門のシニアマネージャーの白幡慎二朗といいます。今日は最近のパワーアシストスーツについて授業いたします」
パワーアシストスーツ? 生徒全員の頭に疑問符が浮かんでいた。それって一体なんでそんな話をするのだろうかと。




