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015.来ない彼女

 うちの工場に恵理が来てから、彼女は一週間も学校に来なくなっていた。その時期梅雨末期の豪雨が続き、水害も発生していたので学校も休校になっていた。そして雨が上がって警報も解除されたので登校したが、彼女の姿はなかった。


 彼女が登校していないことに担任の綾先生は欠席届が出ていますというだけで理由は言わなかった。少しは心配なので質問したかったがクラスメイトから特別な関係とみられるのがいやなのでやめた。その時まで恵理を女と見なかったのに姿をみなくなっただけでこんな風に思うとは思ってもいなかった。


 「なあ鈴木、お前は金城の事が気になるのかよ?」


 諸積がちょっかいを出すかのようにツッコミをいれた。その時偶々恵理が座っていた席を見つめていたからだ。でも言葉で説明しなかった、いまの感情を言葉にすることができなかったから。


 「空気みたいに思っていたんだ、でも・・・」


 何か説明しようとしたのに会話は続かなかった。その気持ちを整理して吐露できるようには、まだ幼かった。


 夏休みまであと一週間を切った。その日も恵理は来なかったが、その日は一年生二学級合同で特別授業することになった。なんでも革新的な技術を紹介するということであった。

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