014.ガイノイドに憧れる恵理(5)
恵理に尋ねられて親父は少し戸惑った表情をしていた。その時何を思っていたのかを知ったのは随分先の事であった。
「あの駅前のゲームコーナーにいたロボットの衣装みたいなものを作れないのかなと思いまして。まあ、見積もりだけでも可能かなと」
理恵の質問にいつも愛想のよい親父が珍しく考え込んだようだった。そうするとこんなことをいった。
「じゃあ、あのキャラメルママのご主人に聞いておくね。外骨格のことについて。見積だけど・・・いまわかんないから。でも、もしかすると可能かもしれないからね」
親父が何を言っているのか分からなかった。しかし、あんまり追求しなかった。その時の彼女は軽い気持ちだったのかもしれない。ガイノイドに対する憧れは。
そのあと、恵理を見送ったがそれが彼女の人間としての最後の姿とは思ってもいなかった・・・
家に帰った後、僕は親父の方へ行こうとしたけど、家族なのに工場の中に入れなくなっていた。それでお袋に聞いてみたところ、意外な事を言われた。
「なんでもね、クライアントさんが本格的に家の工場を接収したいといわれたのよ」
「それって、まさか借金の方に差し押さえられたんじゃないよな?」
「心配しないで。うちにとって悪い話じゃないから。ちょっと工事をするんだそうよ」
「工事ねえ・・・」
その時、自分の周りが大きく変わろうとしている事に一切気付かなかった僕だった。




