100.本部へ(五)
「金城さん、あの・・・」
云いかけたところで理恵がちょっと待ったというポーズをしてきた。
「なんか、そのう・・・なんど、苗字で呼ぶのやめてくれる? 下の・・・理恵と呼んでいいわよ、呼び捨てでいいわよ。まあ学校では今まで通りに苗字でいいけど・・・なんか、そうしてほしいのよ」
理恵はそういったが、それって親しい関係でもないのになれなれしいように思った。まあ理恵は昔から近所に住んでいる幼馴染だけど、存在を認知していて挨拶する程度で、一緒に遊んだ事などなかったように思う関係であったので・・・いなくなっても気にしなかったかもしれない。そんな彼女が人間でない姿になって、はじめてこんなに話をする関係になった!
「そうかあ、じゃあ理恵。それじゃあ僕も翔太と呼んでもいいよ。そういえばクラスじゃ下の名前で呼ばれた事もないけどさ」
翔太はクラスで目立たない存在だ。特別リーダーシップがあるわけでもなく、かといってイジメの対象にされた事もなく、まあその他大勢のザコキャラみたいな存在だ。おそらく高校を卒業したら同級生であっても思い出されることはないだろう。
「なあ理恵、その姿になって気持ちいいのかい?」
少し気恥ずかしかったが、初めて翔太は女の子本人を目の前にして呼び捨てにした。もっとも彼女は人間の女の子の姿ではなく女性型ロボットの姿であった。そのボディは神々しい存在に思えた。




