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攻撃力最強の俺。防御力最強のお嬢様。  作者: しいたけ
     セレン
27/29

不活姫アトム ①

 七色の黒い光が収まり2人が恐る恐る目を開けると、そこには全身黒い光沢を帯びた人影がいた。


「おお!この世の悪意を封じ込めし不活姫アトムよ!!」

 魔女が腕を上げ、アトムと呼んだ人影を讃えた。


「我を……貴様が……呼んだのか?」

 口を開くことなく発せられた言葉は、無機質で性別も特徴も無く、唯々冷たく聞こえた。


「え、ええ!私が封印を解いたのよ!」


 笑顔で答える魔女の身体には大きな穴が空いていた。


「……え?」

 そのまま倒れる魔女。棺の周りには鮮血が広がった。




「逃げるぞ!」

 ホークはリースを抱えたまま、シャルロットへ合図した。


「……まて」


 その声に反応するかの如く、神殿の入口が閉まる。


「何!?」

 慌てて振り向くと、アトムは2人の目の前に居た!


「う、う~ん……」

 ホークに抱えられていたリースが目を覚ます。

 リースの目に映るアトム。


「きゃああ!!だ、誰!!」


 ドゴッ!とリースの盾がアトムの顔にヒットする。


 アトムはびくともせずにリースの盾を掴むと、不思議そうな顔をした。


「この力……神のタネか。……それにしては弱々しい……」

 アトムが触れた盾はブスブスと紫の煙を出し、ボロボロに崩れ去ってしまった。


「え?え?」

 状況が読めないリース。


「リース!動くなよ!」


 リースを抱えたままホークは走り出した。その後ろを面白そうにアトムは追いかける。


「ホーク!アレは何!?ここはどこ!?」

「ここはクリプトンの古神殿だ!アイツは……知らん!魔女が蘇られた何かだよ!とにかくアイツを何とかしないと俺達の命は無い!!」

 ホークすら状況を掴めておらず、目覚めたばかりのリースには何が何だかさっぱりだった。

 しかし、棺の前に広がった血の海に横たわる魔女を見ると、この状況がとても良くないことだけは分かった。


「ホーク!降ろして!」

「え!?」

「早く!!」


 リースはホークの腕から降りると、大きく深呼吸し手を前に出した。

 一瞬で3人を包む白金の障壁。その硬さはホークが一番知っている。


「これで来れないでしょ!」



 しかしアトムはリースの障壁を、幽霊が壁をすり抜けるかの様に無視し、中へと侵入してきた!


「えっ……!?」

 リースの顔が絶望の色に染まる。


「面白い女だ」

 アトムはリースの胸に手を当てた。


 ズブズブとアトムの腕がリースの身体へを入っていく。


「止めろ!!」

 ホークの拳がアトムの頭を捉えた!


「きゃあああ!!」


 しかし、ホークの拳に反応したのはリースだった!


「中々のパンチだが、もうこの女と私は共同体となった。私への攻撃はこの女へのダメージとなるぞ……」

 アトムの身体の殆どがリースの中へと入ってしまった。


「く、くそ!!リースをどうする気だ!!」


「この女の体内に眠る神の種の力を頂く!そして千年前の借りを返すのだ!!」

 完全にリースの身体へ入ったアトム。リースの瞳はドス黒く染まり、この世の悪意を一身に受けた悲しい表情へと変貌した!


「ホークさん!!」

「くそ!どうしたらいいんだ!!」 

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