ニッケル森の黄金蟲 ④
ホークのキャラを戻すに戻せなくなった……
「シャル様……」
「細かいことは後!とりあえずコイツを先に始末するのよ!」
シャルロットが檄を飛ばすと、ホークはダンゴムシへと向かっていった。
「……あの堅い身体を断ち切るイメージを!」
ホークはダンゴムシへ駆けながら目を閉じ、己の手に握る武器のイメージを練った。
「……とにかくシンプルに!」
ホークの手が白金の光に包まれていく。
「……あれをぶち抜く!」
光は大きくなると、白金の斧の形を取り始める!
「行くぞ!!」
ホークの手に握られた白金の小さな手斧はダンゴムシの身体を粉砕し、ダンゴムシはその衝撃で倒れてしまった!
白金の手斧は静かに光に戻り始め、動かなくなったダンゴムシの身体が砂金の様にサラサラと風に乗って消え終わるのと同時にホークの手から消えて無くなっていた。
ダンゴムシの倒れた痕に残された、銀白色の幻魔結晶。
シャルロットは我先にと駆け寄ると、荒々しく幻魔結晶を拾い上げ天に掲げた。
「はは!やりましたねホークさん!」
嬉しそうなシャルロットがホークへ笑顔を向けるが、そこには呆然と立ち尽くすホークが居た。
「あっ!」
慌てて表情を厳しくするシャルロット。
「ゴミムシ!何をグズグズしてるのよ!早く戻るわよ!」
「は、はい!シャル様!」
2人がセレンの宿へ戻ると、宿屋のオヤジが顔を出した。
オヤジの頬には真新しい真っ赤なキスマークがあった……。
「おう、何だかやけに色っぽい女から手紙を預かってるぞ」
ホークは手紙を開けた……
――クリプトンの古神殿でお待ちしてます♡――
「……クリプトンの古神殿?」
「最近見つかった謎の神殿よゴミムシ。建設時期や用途が全く不明で、研究者泣かせの遺跡と呼ばれてるわ」
「……リースさんが心配。早く行かないと……」
リースの身を案じるシャルロットであったが、その前にいい加減魔女に駆けられた幻惑を解かないと……と思いつつ何となく今の状況が気に入ってしまったのであった……。




