ニッケル森の黄金蟲 ②
方向性がおかしな方へ……!?
「ホーク、こっちよ」
ニッケル森に向かいながら、シャルロットはホークの操縦の練習をしていた。
「ま、魔女……様……」
動きは機敏だが、中身はゾンビの様に生気が無いホーク。
シャルロットの忠実なしもべとなっていた。
「ふふ、私の名前はシャルよ……」
シャルロットはホークの頭を撫で、そのまま顎先へ手を滑らせる。
「……何て素敵なお名前なんだ」
ホークの顔色が明るくなる。
「シャル様!シャル様!シャル様!シャル様!」
犬の様に周りをグルグル回るホーク。
「ほほほほほほ……!!」
シャルロットは最高潮に気分が良かった。
辺りに夕焼けが滲み、日が落ちてきた頃。
2人はニッケル森の手前にあるニッケル村へ来ていた。
「ホーク!宿を取ってきなさい!」
まるで奴隷に命令する主人の如く、人を意のままに操る快感を覚えてしまったシャルロットの口調はすっかり変わってしまい、Sっ気が溢れ出ていた。
「……宿、いっぱいでした」
ホークがしょんぼりした様子で宿から戻ってきた。
「私を野宿させるつもりなの!?」
パァァァン!!
道で拾った手ごろな木のツルが地面とぶつかる良い音がした。
「嗚呼……シャル様〜」
ホークがシャルロットへ近づいてゆく。
「んん?何、コレが欲しいのかしらぁ〜?」
ホークの身体に軽めに鞭を入れると、ホークの顔が愉悦の表情へと変わった。
「続きは宿を取ってか、ら、よ!」
ホークは全力で宿を探し回った……。
「おはよう、ゴミムシ君!」
宿の部屋を出た廊下には、ゴミムシと呼ばれたホークが正座でシャルロットを出迎えていた。
バチィィィィン!!!!
廊下にシャルロットの繰り出した平手打ちが、ホークの頬に決まる音が響いた。
「ありがとうございますシャル様!」
ホークは1夜にして、よく訓練されたドMへと変貌していた!!
「さ、森へ幻魔結晶を取りに行くわよ」
シャルロットの後ろをホークが嬉しそうについて行った……。




