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攻撃力最強の俺。防御力最強のお嬢様。  作者: しいたけ
     セレン
22/29

ニッケル森の黄金蟲 ①

「ホークさん、しっかりー!!」


 シャルロットはホークを小屋へと連れて行き、椅子に座らせて耳元でフライパンをガンガン叩き始めた。


「ま……女……さ…………ま……」


 ホークの目は虚ろなまま、ただ遠くを見つめるばかり。


「そう言えばさっきも魔女とか何とか言ってた様な気がします……」


 シャルロットは自分のローブを整えると、周囲を確認してから大人びた声を出した。



「ホーク……私が分かりますか?」


 大人の女性を思わせる声はどことなく魔女に似ており、ホークが僅かに反応した。


「ホーク?」

 もう少し音を低めに……。


 ホークの様子は変わらない。


「ホークゥ?」

 声を張ってみた。


 ホークの様子は変わらない……。


「ねぇ?ホーク……?」

 ヤケクソで嫌らしい声をだしたシャルロット。


「魔女様!!」

 急にホークが立ち上がり、シャルロットに抱き着いてきた!

 シャルロットの胸に顔を埋め、グリグリを顔を動かした。


「ひゃああああぁぁ……」

 シャルロットは思わず変な声をあげてしまう。恥ずかしさのあまり顔が赤くなった……。


 しかし、ホークはすぐにシャルロットから手を離してしまう。


「?」


「抱き心地が違う……」

 また椅子に座ったホークは虚ろな目に戻ってしまった。


「ぐぬぬ……!」


 シャルロットはタンスから布を取り出し、自分の胸に詰めだした!

 背伸びして買った新品の紅い口紅を不慣れな手つきで着けると、トドメにハイヒールを履いて再びホークの前に立った!


「ねぇ?ホーク……いらっしゃいな……」

 その言葉にホークが再び立ち上がり抱きついて来た。


(今度こそ……!)


 しかし、顔を埋めた後、三度椅子へと戻るホーク。


「今度はなに!?」

 もはや意地となっているシャルロット。


「匂いが違う……」


「……はぁ!?」


 シャルロットは自分の持っている香水を1つずつ使い正解を求めた。

 しかし、5つ程あった香水全てを使っても、ホークが満足する事は無かった……。


「ああ!もう!! 魂が抜けたように虚ろなくせに注文が多い!!」


 シャルロットは疲れて椅子に座りこんで、机に置いてあったミカンを食べ始めた。


「あ……魔女様……」


 ホークはシャルロットの手に顔を擦り付け始めた。


「もしかして柑橘系?」

 シャルロットは蜜柑の皮を体中に擦り付け、残りの皮をポケットへと入れた。


「ああ!魔女様!何なりとお申し付け下さい!」

 ホークの目は虚ろなままだったが、とりあえず元気にはなった。


「正気に戻す予定が何だか操れる様になっちゃった……」

 シャルロットはホークの顔を見てしばらく考えた。


「……これはこれで良いかも」


 シャルロットはホークを連れて外へと向かった……。

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