ガリウム鉱山の火焔龍 ①
ガリウム鉱山の麓にある鉱山入口。
かつては鉱石が取れ産業もそこそこ栄えたが、今では鉱石も取れなくなり人気も無くなった。
最近では鉱山の活発化で近付く人も居ないので麓は雑草が生い茂り、棘のテープカットだけがホークとリースを歓迎していた。
「ダメだ、入り口が塞がれてる」
鉱山入り口は岩で塞がれており、既に捨てられた形跡しか無かった。
「そう。じゃあどかして」
リースが人差し指を岩に向け、右へ左へと横に動かした。
ホークは岩を柔かい毛布か何かの様に、ポインポインと放り投げていく。
いくつか動かすと、人が通れる程の隙間が出来た。
「どうせ誰も居ないんだから、気にせず行きましょう」
2人は無人の鉱山跡へと入っていった。
リースが2枚の盾を重ねて回転させて、火花を散らし周囲を明るくする。
鉱山内は本当に何も無く、忘れられた道具がいくつかあるかもしれないと思ったホークが残念がった……。
「誰か居そうで怖くないか?」
運悪く取り残された工夫が化けて出たり、呪いが振りかかったりする話しを思い出し、ホークは少し怖くなってきた。
「バカね、私は何も怖くな――」
バキッ!
リースがゆっくりと恐る恐る足元を見ると、人の骨と思われる残骸の一部をしっかりとリースの足が踏み抜いていた……。
「ははは……」
「ふふふ……」
二人は笑う事しか出来なかった。
でも呪いの類は無い事は分かったので、とりあえず考えるのを止め先へ進むことにした。
「ねえ、熱くない?」
リースは服をパタパタさせ、額からは汗がにじんでいた。
「ああ、ここが活火山だからか?」
ホークにも汗が滴り、耐えきれず上を脱ぐ。
「男は良いわよね。服を脱げばいいんだからさ」
「リースもどう?ここなら誰も居ないよ?」
他意は無かったが、どう捉えてもセクハラである。
「あんたがいるじゃない……」
リースは熱い顔をさらに赤らめて答えた。
坑道を更に進むとサウナの様な熱さへと変化していき、ついに耐えきれなくなったリース。
「もう無理……戻りましょ」
全身汗だくで服は張り付き不快感がMAXだった。
「待った………………何か聞こえるぞ」
ホークが耳を澄ませると、坑道に響く地鳴りの様な音……
それは徐々に大きくなり、轟音と共に坑道をぶち破り何かが2人の目の前を通り過ぎた!!
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