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攻撃力最強の俺。防御力最強のお嬢様。  作者: しいたけ
     セレン
18/29

嵐の後

「あ、大丈夫か?」

 ホークがシャルロットの顔を覗き込む。


 気が付けばいつものベッド。

 シャルロットは起き上がり、椅子でくつろぐホークとリースの顔を見つめた。


「ここも大分荒らされたみたいね。

 悪いけど片づけさせてもらったわ」


「すみません……」


 シャルロットは俯き言葉を失う。


「畳み掛ける様で悪いけど、魔術書の写しはアイツに奪われたので全部なの?」


 リースは至って真面目な顔でシャルロットを見つめた。

 シャルロットは俯いたまま深く頷く。


「ごめんな、奴は俺たちの幻魔結晶を追って来たんだ。俺のせいでシャルロットに迷惑かけちゃったな」

 ホークはシャルロットの手を取り謝った。


「いえ、元々は私が悪いんですから……」


 皆の間に重苦しい空気が漂う……。




「あんた、これからどうするの?」

 リースは耐えかねて口を開いた。


「これからも狙われる可能性がある。

 良かったら俺たちと一緒に来ないか?」

 ホークはシャルロットの身を案じてどこか落ち着ける場所を探してあげようと思った。


 そんなホークの優しさを察したリースだが、内心複雑な心情であった。



「え?」

 シャルロットは戸惑った。

 急に現れた不思議な力を持った人が幻魔結晶を持っていて、怪しい人に追われている。

 とても理解が追い付かなかった……。


「す、すみません……」

 彼女はそれ以上何も言わなかった。



「無理強いは良くないわ、行きましょう……」

 リースは立ち上がると、静かに小屋を後にした。




 宿屋に戻り、重い空気の中溜息しか出ない2人。

 食事を取りにロビーに降りると、宿屋の親父が話しかけてきた。


「なんだか暗い顔してるけど、大丈夫か?

 もしかして湖はダメだったか?」


 親父が近づいてきて地図を広げた。


「ここから西に行くと活火山があるんだ。最近活発になってきて危ないぞ。出かけるときは気を付けてな」


 二人は親父に会釈すると食堂へ行き、味気ない食事を静かに食べた。


「ねぇ……」


 リースが久々に口を開いた。


「幻魔結晶って自然エネルギーが豊かな所に出来るんでしょ?」


 ホークはしばらく悩んだ。

 幻魔結晶に関わるのは気が引けた。

 また誰かに迷惑を掛ける事になるのは嫌だったのだ。


「私はこのまま終わるのは嫌よ」

 リースは立ち上がり、ホークへ手を差し伸べる。


「つべこべ言わず、私に力を貸しなさい!」


 言い分はメチャクチャだが、リースなりの励ましにホークはゆっくりと手を重ねる。


「そうだな。難しい事はリースに任せるよ」


 ホークはとりあえず前に進むことにした。

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