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おうちが安全地帯とか夢みてんじゃねぇよ
俺は目が覚めた瞬間に、音も振動も何もなく、ただ唐突に天井をすり抜けるようにして出現したトラックに押しつぶされた。
十階建てマンションの五階にどうやってトラックが飛び込んできたんだ、などとツッコむ前に俺の意識は闇の中へとサヨナラバイバイ。
「せめて……納得の行く死を……」
俺のか細いボヤきは、誰の耳にも届くことなく消えていく。
俺の、命と同じように。
せめて、人の金で焼肉とか寿司とか食いたかったし、童貞卒業したかったし、会いに行けるアイドルとやらにも会いたかったし、他にも――
プツリッ