魔王は寝ない
今日もがんばるぞい
俺はクラルテよりも早く起きた。
俺は目的がなく、やるべき事もないのでクラルテについてきている。
もしも、べつの用事があればそっちに行くだろう。しかし、魔王としかわからない今はクラルテについて行くしかない。
あわよくばやりたいことが見つかればと思っている。
あと昨日気づいたが、俺はやはり寝なくていいらしい。昨日もやはり疲れていなかったから気がついた。
今日からは本を読んで夜を過ごすことに決めた。
別にほかの事でもいいが、本を読んでいると空っぽの頭の中が少しずつ埋められていく感じがする。その感じが好きだ。
そんなことを考えていると、クラルテが目を覚ました。
「おはようございますー、魔王様ー。魔王様は朝に強いんですねー。」
「ああ。」
寝ぼけ眼をこすりながら言ってくる。
「では早速支度をして、出発しますよー!」
クラルテはそう言うと携帯用の寝具を片付けだした。
俺も手伝い出発の準備が整う。
「では出発!レッツゴー!」
「おー。」
クラルテはまた片手をあげて元気よく言い放つ。俺も少しだけのる。
出発してすぐに、クラルテが話し出した。
「そういえば魔王様の名前、昨日考えたんです。」
「そうか。」
「私が考えた魔王様の名前は「ヴェセル」です!どうですかっ?」
「ああ、いいと思う。」
「ですよねっ!私も結構考えたんです!なのでこれからはヴェセル様とお呼びしますね!」
「ああ。」
そうして、俺の名前は「ヴェセル」に決まった。
意味を聞いたら「器」という意味らしい。
そんな会話をしながら俺たちは今日も港町ウンアに向かう。