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魔王は本を読む
俺は上級者向けダンジョンをクリアして、今地上にいる。
特に気になることもないので、俺は寄り道をせずに宿へ帰る。
まだどちらも帰ってきていなかった。
少しだけ宿の外の喧騒が聞こえる。
しかし、部屋の中から音を発するものはいない。
少しだけ寂しく思いながら、俺は本を読む。
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魔王や勇者は生まれた時に自分がそういう存在であること、世界の常識、自分ができることなど。生活に困らない知識を持っている。
悪い勇者もいれば、良い魔王もいる。
何故勇者と魔王に分かれているのか、それは誰も知らない。
知っているとしたら......
神...
そんな存在だろう。
勇者や魔王は一般人にはできないようなことを、容易くこなす。
もしかしたら神の使いなのかも知れない。
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そこまで読むと、ドアの向こうから足音が聞こえた。
俺はその足音をよく知っている。
そしてドアが開き、クラルテとプロミネが入ってきた。
「ヴェセル様!ただいまです。」
「ヴェセル!ただいまー。」
そんな声に対して応える。
「おかえり。」
と。
今日も穏やかな日だった。




