魔王は町を出る
実は今日誕生日なんです
結局俺は寝られず、その晩は本を読み続けた。
冒険譚や英雄譚、恋愛系の話などがあった。文字の意味が書かれている辞書というものもあったが、クラルテが出した本を全て読み終えた。
俺が全ての本を読み終え、二週目に入ろうとした時、クラルテが起きてきた。
「ふぁーぁ...よく寝たー。...えっ?魔王様?!もしかして寝ずに本を読んでいたんですか?!」
「ああ。」
「魔王の中には不眠でも問題ない者もいるそうですけど、魔王様がまさにそれなんですかね?それはともかく眠くないですか?」
「ああ。大丈夫だ。」
「そうですか。では、部屋を片付けてこの町を出ましょうか!」
「ああ。」
俺たちは部屋を片付けた。その中には昨日読んだ本もあり、俺はふと、その中の一つを思い出した。
それは、「魔法は、使用する者の意思で魔法の作用が変わる」というものだ。
俺はそれを思い出し、壁に向けて手を向ける。そしてまた、体の奥の力を手から出すようにイメージする。今回は、「壁が古いなぁ」という気持ちがこもっている。
「魔王様っ?!壁を壊す気ですか?!」
クラルテがこんなことを言っていたが、魔法が出た後だ。
ぴょこっ♪
元気よく壁から双葉の芽が出てきた。
「えっ?」
「芽が出たな。」
「...芽が出ました…ね...」
「俺は木を揺らせて、芽を生やせる。」
「絶対使い方違いますよー...」
そんな会話をしながらも、俺たちは片付けが終わり、宿の受け付けに向かう。
「昨夜はお楽しみでしたね。」
「もうっ!何言ってるんですかっ!!」
「はははっ!冗談だ。じゃあ行ってきな。気をつけなよ。」
「はい!行ってきます!」
そんな会話をして宿を出た。
その後は寄り道をせず町を出た。




