クラルテもハックに行く
私たちは宗教国家リスマスを出て、南西に行く道を進んでいます。
次の目的地はサディス城と言うお城なんですけれど、その前にハック村と言う村を通過します。
最近はヴェセル様の方から質問が増えてきている気がします。
少し、私と仲良くなった気がして嬉しいです!
私はヴェセル様に魔眼について話しました。私の魔眼はシャンス・ウイユ、運が良くなる魔眼です。目に十字の紋章があります。
旅の道中に魔物に遭遇しないのもこれのおかげです。
そしてヴェセル様も魔眼が気になるようです。
私はヴェセル様にかがんでもらって、ヴェセル様の目をのぞき込みます。
翠眼に浮かぶのは幾何学的な模様です。そして模様が動いていて、同じ形にはなるんですけど、決まった形と言われれば答えられない形でした。
そんな会話をしていると村に着きました。
だけどなんだか雰囲気が暗くて、ちょっと寂しいです。
村に入ると女の人が言いました。今は疫病が流行っていて、来ない方がいい、と。
ですので私たちはそのまま村を通過して反対側に向かいました。
村を出てしばらくすると暗くなってきたので、今日はここで野宿です。
何故かいつもより疲れていたので、すぐに意識が遠のきました。
朝、目が覚めると、体が動かせないぐらいだるくて、熱もあるようです。
どうしましょう。きっとハック村で疫病をもらってきてしまったんでしょう。
私が苦しくて横になっていると、ヴェセル様が来ました。
症状を言うと、少し慌てていました。
そしてすぐに魔法を使ってくれました。
やさしい光が私を包みます。
すると病気の症状がだんだんと軽くなっていき、いつも通りの体調に戻りました。
ヴェセル様にお礼を言うと、抱きしめられてびっくりしました。
でも、心配してくれていたことが伝わり、なにか胸の奥があたたかくなりました。
安心感でしょうか。
それとも子どもを見守る母性でも、働いているのでしょうか?
ともかく私はしばらく、ヴェセル様に抱きしめられました。




