魔王は風鈴を知る
買い物は続く。
「ヴェセル様!サディス城の城下町ではガラス細工が有名だそうですよ!ちょっと見に行きましょう。」
「ああ。」
クラルテのちょっとは買い物に限り、長い。
「ヴェセル様!見てください!ガラスでできたコップですよ!」
「ああ。」
「つるつるしていてすごいです。」
「そうか。」
ガラス細工は普通、つるつるしているのではないだろうか。
「見てください!こっちは動物の形をしています!なんとなくですが、うさぎに見えなくもないですね!」
「ああ。」
俺は犬かと思っていたが、うさぎだったようだ。
「ヴェセル様!このガラス玉、綺麗ですね!まるで夜の星空みたいです!」
「ああ。」
たしかに綺麗だった。
チリーン
耳に高音の、周囲の賑わいとは別の音が聞こえた。
俺は音のなった方を見る。
そして露店の店主に言う。
「これは?」
「これかい?これは風鈴さ!地方によっては夏を代表するような代物さ!」
「そうか。」
それだけ聞いて、俺はクラルテの元へ戻る。
「何かありました?」
「いや。」
そして買い物が終わり、宿屋に泊まる。
宿屋の部屋の中でクラルテが言う。
「明日は別行動にしませんか?そっちの方が買いたいものが見つかるかもしれませんし。」
「ああ。」
ということで、明日は別行動をすることのなった。
今日も本を読んで夜を過ごす。




