魔王は買い物につきあう
気まぐれですので
町に入った。
「この町は辺境の町って呼ばれていて、私がよく買い物に来る町なんです。」
「そうか。」
「さあ魔王様!今から買い込みますよ!」
クラルテは元気よく片腕をあげながら言った。
「おう!クラルテの嬢ちゃん!今日は何を買ってくれるんだい?」
「今日はですね、近々遠出をしますので、そのための買い込みです!」
「そうかい!たくさん買っていってくれよう。」
「はい。それでは、まずパンを一月分ください。」
「そうだね。それだと銀貨三枚に大銅貨一枚だね。」
「ふむ。では、その値段でお願いします。」
クラルテが知り合いらしき男性と話をしている。食べ物をお金と交換しているようだ。
(それにしても活気がある)
辺境の町とクラルテは言っていたが、意外と賑わっていた。
それからしばらく買い物は続いた。
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「いやぁ、沢山買いましたね!魔王様!」
「ああ、そうだな。」
クラルテの買い物は長かった。
「もう暗いので次は宿に泊まりましょう!」
「ああ。」
そんな会話をしながら、宿屋に向かう。
「こんばんわ..おお、クラルテじゃないか。今日は何泊していくんだ?」
「こんばんわ!今日は二人で一泊です!」
「二人で一泊っと....うん?二人?」
宿屋の主は帳簿を見ていたが、その言葉で顔を上げた。
「おーおー。クラルテもそんな歳か。頑張んなよ。」
「もうっ!そんなんじゃないですってば!」
「はははっ!わかってるわかってる。値段は銀貨三枚だ。部屋は二階一番手前だよ。」
「本当にもう。魔王様行きましょう!」
親指を立てている宿屋の主に銀貨を三枚乱暴に手渡し、クラルテは俺の手を引き二階へ上がる。
そうして俺たちは部屋に入った。