魔王は焦る
俺たちは野宿をして夜を明かした。
遅い。
いつも俺は本を読んでクラルテを待っているが、クラルテがなかなか出てこない。
俺はクラルテを見に行く。
クラルテは寝具に入ったまま横になっている。
「クラルテ。」
「はい...」
起きては、いるみたいだ。
「ヴェセル様...ちょっと体がだるいです…」
体調が悪い...
俺は昨日の村の疫病を思い出した。
「昨日の疫病。」
「そうかもしれません...どうしましょう...」
クラルテは泣きそうだ。
俺は何故か体が落ち着かない。
なんでだ...
この気持ちはなんだろう。
焦り...か?
俺はすぐに魔法を使う準備をする。
角と翼を生やし、クラルテに対して「治れ」という意思を込めて力を放つ。
クラルテが数秒、緑のモヤに包まれたあと、モヤが消えた。
「クラルテ!」
「はい!ありがとうございます。もう体は平気みたいです。ありがとうございました!」
俺はクラルテを抱きしめてしまう。
「わ、わ、ヴェセル様!どうしたんですか?!」
「心配した。」
「そう...ですか。ありがとうございます。」
しばらく抱きしめた後、俺たちはハック村に戻って疫病の人たちを治すことにした。
ハック村の病気の人を全員治し俺たちは再度、サディス城へ向かう。




