魔王は魔眼を見る
俺たちは村を経由してお城に向かう。
「クラルテ。」
「なんでしょう、ヴェセル様?」
「村の名は。」
「ああ!そういえば言ってませんでしたね。村の名前はハック、ハック村です!」
「ハック。」
「ハック村は特に特産物なんかはないんですけど穏やかな雰囲気のいい村だそうですよ!」
「そうか。」
「はい。そうなんです!」
次の村はハックというらしい。
最近、なんとなくクラルテが元気な気がする。俺は何もしていないのでほかの理由からだろう。
宗教国家リスマスで買い物をした時に何かいいことでもあったのだろうか?
「ヴェセル様!ヴェセル様は魔眼って知ってますか?」
「言葉だけ。」
「そうですか。魔眼はですね。魔法の種類と同じくらい多いんですよ!」
「そうか。」
この世に魔法は人の数以上存在すると言われている。本に載っていた。
「実は私の目も魔眼でして、どんな能力だと思いますか?」
「知らない。」
「私の目はシャンス・ウイユって言われています。どんな能力でしょうか?」
クラルテに質問された。
「運、か。」
「正解です。」
「ああ。」
「私の目を見てもらっていいですか?」
「なぜ?」
「いいから見てください。」
そう言われ、俺はクラルテの目を見つめる。
クラルテの目には「十字の紋章」がある。
「十字。」
「そうなんです!シャンス・ウイユは目に十字の紋章が描いてあるんです。」
「ほう。」
俺はクラルテに言う。
「俺は。」
「ヴェセル様のですか?では少しかがんでください。見えませんので。」
クラルテは小さいのでかがまないと見えないらしい。
俺はかがんでクラルテに目を見せる。
「ヴェセル様!ヴェセル様も魔眼ですよ。しかも片目ずつ違います。」
「能力は。」
「能力はですね...すみません、幾何学的な模様で見たことがないのでわからないです...」
「ああ。仕方ない。」
「ありがとうございます。」
こうして村に向かう。
村はもう近い。




