クラルテも跳ぶ
私たちは今港町ウンアに向かっています。
夜、野宿をして、寝る時に私は魔王様の名前について考えました。
魔王様は感情の変化があまりなく、意欲などがほとんどない。そして、世界の常識なども全然知らない。まるで産まれたての赤ちゃんのように、中身が空です。
私は親に魔王様にいろいろ教えなさい、と言われました。
それはつまり、空の器の中身を埋めなさい、と言っていると私は思いました。
(器...,)
(ヴェセル...)
(ヴェセル!)
私は魔王様の名前をヴェセルに決定しました。
翌日、ヴェセルという名前を言った時、ほんの僅かですが、魔王様は笑っていた気がします。
今度からはヴェセル様とお呼びすることにしました。
港町ウンアに向かう途中の橋が壊れています。私がどうしようか悩んでいると、ヴェセル様が跳ぶ、と言いました。
跳ぶ....?
跳ぶって十数メートルもありますよ?!
そんなことを考えていたら、お姫様抱っこされました。
女の子なら誰もが夢見るお姫様抱っこです!!
私が浮ついていると不意に浮遊感が襲ってきました。
そして軽い衝撃。
どうやら跳んだみたいです...
びっくりしました...
何か合図をしてから飛んで欲しかったです…
とりあえずまあ無事に通れたので良しとします。
そうして、私たちは港町ウンアに入りました。




